管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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家族で横浜そごう&マルイ行ってきました。歩き回り過ぎて足が痛い・・・。
でも、洋服買ってもらえました♪
赤のチェックのスカートと、迷彩のズボン、あと長Tを三着も。嬉しいものですね♪

さて、明日は年賀状仕上げなくては・・・。



それでは、クリスマスで百人一首。初期設定なので沖田は女の子です。














山里は 冬ぞさびしき まさりける
人目も草も かれぬと思へば





黒と白の境界線





「あれ? 土方さんじゃないですか」
「・・・あ、沖田」
呼ばれた方へ顔を向けると、夜の闇を彩るイルミネーションに亜麻色の髪を煌めかせ、ぼんやりと沖田が立っていた。
そういや今日、夜番だったかと思いあたる。年頃の女がこんな晩に一人かよ、と馬鹿にしたくなるが、ホッとしているのも確かだ。
その安堵が、どのような想いからうまれたものかは分からないけれど。
「今年は一人なんですか? 去年はデートしてたのに」
「まぁ、な」
「あ、わかった。ふられちゃったんでしょ? かわいそーに」
全く可哀想などと思っていない朗らかな声で言い、俺の不幸をけたけた笑う。そういうことに慣れているということと、傷付かないということは必ずしもイコールで結びつくわけではなく若干傷付く。
コツコツと夜の沈黙に靴音を響かせ、立ち止まる俺の前まで歩み寄った。
「別にフラレてねぇからな。一人でいたい気分なだけだから」
「フラレたから一人でいたい気分なんでしょ? 聖夜にフラレるなんて運無さすぎ。流石土方」
「人の話聞いてる? 違うつってんだろ。ってかさりげない呼び捨てやめてくんない」
一方的に別れを切り出されたのは先月の話だ。

仕事と私、どっちが大切なの。

お決まりの台詞と、頬に残された痛みと赤い跡。街中で突然、ドラマのワンシーンのような振られ方したあの時、確か隣にこいつはいた。
さっきのように笑顔で同情された覚えがある。
「・・・にしても珍しいな。お前が皆と呑んでねぇなんて」
今日みたいなイベントのある日でも夜番は当たり前のことながら必要なのだが、近藤さんが屯所でワイワイ騒ぐモンだから見廻りに行きたがるヤツなんざそうそういない。
だから例年、俺が勝手に決めていたのだけど、今年は沖田が行くと言ったから、強制的に見廻り行かされる不幸な犠牲者は出ず、隊士から女神だと崇められていた。
「酔いを覚まそうと思って。・・・それに、クリスマスツリーをクリスマスに見たこと無いからな、って。でもよく考えたら寂しい寂しい土方さんと同類に見られてたんでしょうね」
「何お前反抗期?」
静かな道を並んで歩いていると、イルミネーションやクリスマスツリーに浮かれるカップルと度々擦れ違った。やはり、普段より町を出歩く人々(とはいえ主にカップルだが)が多い。
横をチラリと盗み見ると此方もイルミネーションに見惚れていた。
うっとりと見入る表情が幼くて、気付けば頭を撫でていた。
驚いたような目で見られ、ぎこちなく手を離した。
「・・・何してんの、土方」
「悪ィ、つい・・・」
「つい、って何」
触れたい、と思ってたらいつの間にか頭を撫でていた。
とは中々言いにくい。それに、こいつは子ども扱いされるのを妙に嫌うから、余計。
どうせなら、抱き締めていればいいものを。
我ながら奥手過ぎる、この両手は。
「・・・久々に呑みましょうよ」
くいっと猪口を煽る仕草が親父くさく、先刻の幼い表情とのギャップが激しい。
「いいけど、悪酔いすんなよ」
「え?私悪酔いなんかしないけど」
前に飲み比べをした時は酷かったのだ。これ以上ないって程絡まれて。
本人は忘れたようだが。
「・・・あ、クリスマスプレゼント、何か欲しいのありますか?」
「え、いきなりどした?」
今まで、一度たりともプレゼントらしいプレゼント(その他贈り物系)を貰った事がなくて、困惑してしまう。

くれると、他の誰でもない、お前が言うのなら欲しい。

けれど素直には受け取れない。裏があるのかも、と思ってしまう。
「ねぇ、何もないの?」
「・・・あるには、あるけど」
「なになに?」
「唇を・・・」
「唇?」
途端にきょとんと首を傾げ、沖田は聞き返す。
無理も無いか、こんな馬鹿げた、願い。きっとこれは気の迷いなんだと、思い込もうとして思い込めない。
気付いてしまったからには、もう戻れない。

だからといって、沖田にそれを押し付けるというのも。
「やっぱ、なんでもねぇや」
「・・・何ソレ。あんたそれでも武士?言いたいことあんならはっきり言って」
「・・・一応俺、お前の上司だけど」
「あ、そうでしたそうでした。・・・じゃあなくて、さっきのプレゼントの話です」
変なとこ頑固なのは餓鬼の頃から変わってないんだな、と保護者目線で考えてしまい苦笑する。

恋人として守りたいのか、妹として守りたいのか─────・・・。
「キス、してくんね?唇に」
「・・・・・・」
聞こえなくなった足音に振り返ると、真ん丸い目を更に丸くし、立ち止まっていた。
・・・流石に驚くよな。と予想はついていても、実際に驚いた表情を見ると此方までドキッとする。
「やっぱ、無理だろ?」
「・・・いえ。武士に二言はないんでしょ。やってやりますよ」
戦場に行くような強い眼で半ば睨み上げるように上目で見つめられる。
そういう風に、して欲しいわけではないのだけど。こういう言い方してしまった以上、仕方がないのだ。
「嫌なら、いいけど」
「土方さんになら、ファーストキスぐらいあげてもいいですよ」

え。

と思うと同時に唇が重なっていた。
胸元の布をぎゅっと握り、少し背伸びする初々しさが愛しくて、おずおずと背に腕をまわす。
音をたてず、触れていた唇は離れていった。
無言で、沖田は俺を見つめる。

─────そっと離れた唇が、名残惜しい。

「・・・これで満足ですか? 土方さん」
「・・・・・・本っ当ムードの欠片もねぇ女」
「それは、しょうがないですよ。そういう風に育てられたんで」
そういうもんか、と首を傾げる俺を、眩しそうに見上げた、赤い瞳は優しげに細められていた。





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