ハッピーバースデー!十四郎さん!!てことで小説です。
じゃおやすみなさいませ。
小さな事でも、二人で祝っていきたい。居候記念日とか初めて会った日、だとか。勿論、近藤さんを含めたっていい。
お祝い事は皆でワイワイ、お祭り騒ぎで無礼講で、ってやるのが楽しいのだから。
アンタにも、教えてやりたいんだ。
Ma cherie 番外編
「晴々としたいい天気ですねィ。こどもの日はやっぱこうでなくっちゃ」
「・・・だな」
驚いた。
朝起きたら既に、総悟は起きていてしかも布団に温もりが残っていなかった。俺は六時に起きたから、遅くても五時半には起きていた計算になる。低血圧で弱点は朝だ、って総悟が。でも爺とかよく居るよな。朝日がのぼると共に起床、とか。それとも寝つけなかった、とか?神経図太いアイツにはまずないな。
「十時に近藤さん来やすから」
「あぁ。・・・ってハァ!?」
勢い良く首だけ振り返ったお陰でゴキッ、とおかしな音がした。やばくね?地味にいてぇし・・・。
「こっからでも変な音聞こえやしたぜ?首大丈夫ですかィ?」
「駄目かも・・・」
首を擦りながら湿布が入ってるはずの棚を開けた。が、手で探っても何も無い。
そうだ。こないだ使い切って未だ買ってない。
「ってか何勝手に約束取り付けてんのお前」
「俺が何しようと勝手だろィ?いくら居候だろうが人権てモンがあるんですぜ」
「・・・お前でも人権知ってるんだな」
「授業で習いやしたぜ」
それを知ってるなら、人権の侵害ってモンも知っているだろう。いや、コイツの事だから器用に忘れてるかも。だからあんなに俺をいじめる、というか嫌がらせをしてくるのだろう。・・・知っててもやってきそうだが。
「片付け、しなくていいんですかィ?」
「え・・・?」
言われて部屋を見回すと、無惨なまでに散らかっていた。勿論、普段から潔癖症と言われてる俺がこんな状態にする訳もなく、この腐海は大学のレポートだとかで総悟が散らかしたものだ。
「・・・手伝えよ」
「・・・出来得る限り」
ピンポーン
とチャイムが鳴ったのは片付けが一段落ついた頃だった。
「よう、柏餅買ってきたぞ?」
「近藤さん!」
片付けていた食器類を放り投げ、総悟は駆け出していった。慌てて俺はそれを拾う。
―――――ギリギリセーフ
「トシ、何やってんだ?そんなトコで」
奇怪なオブジェのような格好で食器類を受け止めた俺を近藤さんが不思議そうに眺めている。その後ろではキヒヒと可笑しな効果音をつけ総悟がにやけている。
物を言う気さえ、失せる。
パパッと食器を机に置き、近藤さんは俺に微笑みかけてくる。起き上がり、その場を座っても尚。
いぶかしげに首を傾げると、総悟がせーの、と後ろ手に何かを持ち、言った。
「誕生日、おめでとう!」
高低、二つの音で言われた言葉に首を傾げる。
誕生日、たんじょうび。
そういや、五月五日こどもの日は俺の誕生日だった。忘れてた俺っていったい。
「はい、プレゼント」
子どものように無邪気に笑いながら総悟は包みを差し出した。それを受け取り、開けてみる。
―――――中から現れたのはスーツ一式。濃紺の上下に白いシャツ、それにネクタイと靴まで。
「色、それでよかったか?」
「アンタの好みに合わせたつもりですがねィ」
「・・・ありがとな」
今まで貰ったどのプレゼントよりも嬉しく感じたのは、ぶっきらぼうさからかいまみえた総悟の優しさの所為かもしれない。 PR