朝、サルゲッチュを見た影響で夕飯がそーめんになりました。笊一面のそーめんは美味しそうじゃないけれど、食べたら普通に美味しいのです。こんばんわ、識月です。そーめん食べながら家族で感動について語りあっていました。で、「フランダースの犬でも私は泣かないよ」と言ったら母が、「おじいさん。僕はもう疲れちゃったよ・・・(だったかな?)」と台詞を言いながら泣き始めました。
いや、すごい。
どうしてそんなに泣けるのか。私は疑問に思います。涙腺とかいう次元じゃありません。
非科学的なものを信じる質じゃなかった。否、今でもそうなんだけど。
実際に自分がそんな体験をしてしまうと、流石にそういうのもあるかな、と思うようになる。
眠りの国のアリス
「どういうことですかィ・・・?」
差し出された銀時の掌にチョコンと腰掛け、沖田は巨人と化した銀時ら三人にいぶかしげに問う。べちべち自分の顔を叩いたり、銀時の顔を思いきり叩いてみたりして確かめてみたが、ものの見事に縮んだらしい。
だが、沖田は慌てることもなく、足をブラブラ揺らしている。
「縮んだみたいだな」
「・・・ですね」
「手乗りサイズだわ。銀ちゃんの手にぴったりね」
「それは結果でしょう。俺が聞きてぇのは原因でさァ」
見たままを率直に述べる三人に溜め息混じりに再び尋ねる。この世界で生まれ育ったのだ。自分より、原因を知ってる可能性は高い、と思ったのだが。
(やっぱグダグダだなァ・・・)
「何で縮んだんでしょうねぇ?銀さん」
「私もわからないわ。銀ちゃん、知ってるんじゃない?」
「アレだよ、アレ。えーと、アレ」
「旦那ァ、知らねぇんでしょ?」
「いや、銀さんは何でも知ってるよ~?」
目線をそらしながらの言葉は嘘だと決まっている。しかもそれが銀時の場合、尚更だ。この世界の住人である彼等にもわからないとすると、お手上げだ。だが、もし可能性が一つあるとしたら、さっき頬を切った際に何かの毒が入ったとしか思えない。毒の所為で体が縮むなんて聞いたこともないけど。
「毒、ですかねィ。やっぱ」
「・・・だろうな。多分、さっきの怪我で」
「怪我までいきやせんよ。かすり傷ですぜ?・・・となると解毒剤はありやせんねェ」
「なさそうですね・・・」
ずーっとこのままでいるしかない。と思うと気が重いどころじゃない。土方さんを斬り殺すことが出来なくなるし、それだけじゃない。真撰組にいれないかもしれないんだ。そうなったら、俺は―――――?
そういえば、今元の世界はどうなってるんだろう。ベタなパターンだと、時間が止まってる、だとか寝たまま目が覚めない、とかだが。時間が止まったままであってくれれば・・・それとか夢でした、とかそんなならばいい。
「私、知ってるわ。解毒剤」
「え・・・」
振り返った拍子に、掌の上から落ちかけた。親指に必死にしがみついてる姿ははたから見れば滑稽だろう。だが、俺からしたら東京タワーの天辺から落ちそうになってるのと一緒で、生死がかかっているのだ。
じたばたと足を動かしていると足に何かが当たる。落ちないようゆっくりと下を見ると、いつの間にか手が差し出されていた。それに座ると、旦那がニッコリ微笑んだ。
「あんま暴れないほうがいいぞ。落ちるからさ」
「・・・最初から助けろってんでィ」
「で、神楽ちゃん。どこにあるの?その解毒剤は」
「あの塔の中ヨ」
神楽が指差した先にあったのは、煉瓦造りなのが遠目でもわかる窓が一つしかない高く白い建物だった。進行方向にあったから、きっと銀時も行こうとしていたのだろう。だが、果てしなく遠い。いま来た道の何倍だろうか。兎に角、今の自分が歩いたら何日かかるか・・・。
「あ・・・」
「ん?どうした?」
再び、浮遊感と目眩が体を襲う。これ以上縮むのか。それとも・・・。
「うわっ・・・!」
目を瞑った途端、旦那の声と一緒にギュッと何かが体を掴んだ。
恐る恐る、目を開く。
目の前には苦笑を返しそうになる程満面の笑みを浮かべたチェシャ猫・・・もとい、銀時の姿が。
「・・・下ろして下せェな」
「うん、いいよ」
ポン、と下ろされ、先程よりは大きくなったが、まだ、皆よりも低い。ちょうど旦那の腰辺りの身長だ。
それにしても、旦那の笑みが気にかかる。
神楽達二人を振り返ると、デジャブな反応が。 PR