管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
| Admin | Write | Comment |
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[07/12 愛里]
[06/30 愛里]
[06/29 愛里]
[08/07 kazu]
[07/09 和葉]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
白野 識月
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

今日美容院行って参りましたァ。でも5cmぐらい切っただけだし絶対誰にも気付かれない。それもまたいつものことなのですが。
他人に頭洗ってもらうと気持ち良くて眠くなります。元来、他人に頭とか触られるのあまり好かないのですが、美容師さんだけはやっぱ別ですよね。まぁ人によるのですが


それでは久々の小説。










勘違いならよかったのに。そう思っていても現実は変わらない。





木漏れ陽の下で





ゴホッ、と無視するには少し大きすぎる咳が、背後から聞こえた。声を掛けようと思って隣を盗み見るといつも通り本を読んでいたからいいか、と自分も本に意識を戻す。
「コホッ・・・」
再び聞こえた苦しそうな咳に、同じようにまたチラリと顔を見るが、何も無かったかのような無表情に少しムッとして本の続きを探る。
同じことを数度繰り返して、溜め息をつきながら訪ねた。
「お前大丈夫カ?」
「・・・何が?」
分厚い本から私へと視線を移す赤い双眼は、いつも通り無表情。
馬鹿馬鹿しいかな、とか思いつつ本を閉じる。
「咳凄いアル」
「ああ・・・。別に少し風邪気味なだけでィ。心配すんじゃねーよ、お前がンな珍しい事したら俺死んじまう」
「ほんとウザいな、お前」
見学するならコレ読んどけ、そう言われ渡された分厚い本にはきっと保健的な事が書かれているであろう暗号が載っていた。こんなの、真面目に読む人絶対いない。というか催眠術がかかるようなそんな気もする。
私はそんな暗号の本なのに、付き添いでサボったコイツが読んでるのは面白そうな武道の本。カラーでイラスト付きで、物凄く興味を惹かれる。
普通逆だろと心底思う。
「お前体育やってくればいいネ」
今は男子はサッカー、女子はハンドボールをしている。沖田はこの前の球技大会で何気にシュートを何本も決めていて、サッカーが得意だと自分でも誇らしげに言っていた。
好きならば、やればいいのに。咳が凄いけど、どうせ仮病なのだから。そうは思うけど、一人で見学も寂しいし、コイツが居れば楽しいから言えなかったのだけれど。コイツのほうこそ、詰まらなかったりするかもしれない、そう思って。
「土方さんと同じチームだから詰まんねぇんでさ」
「・・・球技大会だってそうだったヨ」
「あれは先生が、勝てたら次の小テスト満点にしてやるって」
羨ましいだろ?と此方見る顔に苛立ちが募る。私なんか酢昆布二箱だけだったのにずるい、扱いが違う。私だってシュート五本は決めたのに。後で先生に文句を言いに行かなくちゃ。アネゴを連れて。
「コホッ、ゴホッ」
また始まった咳にそうだ、咳の話がしたかったんだと思い出す。
けれど、止まない咳、苦しそうに丸められた背中に尋常じゃないと感づいた。
「お前のソレ・・・風邪じゃないアルネ?」
「な・・・に言って・・・」
今まで見たことない程の苦しそうな顔に胸がズキンと鳴った。何で?何で私の胸がズキンっていうのだろう?
壊れていくのはコイツなのに。
「お前・・・死ぬのか?」
「んなわけねぇだろィ。今のご時世入院すりゃ治りまさァ」
ハァと浅い息を吐きながら事もなさげに言う。
日常が壊れてるのは、コイツにとって何でもない筈がない。だっていつも、楽しそうにしているのだから。
それなのに。
「いつ入院するアルカ?」
「来週中。・・・結構休む事になりそうだなァ」
「・・・何でそんなに普通でいられるネ。入院したくないんだろ?だったらもう少し・・・」
「そりゃあ入院すんのは嫌ですぜ?お前と喧嘩出来ねぇし。でも、入院すりゃ治るんだし、長くて一年なんだし我慢しなくちゃなんねぇんでさァ。お前だって死んで欲しくねぇだろィ?」
「・・・自惚れんな死ね!!」
「そういうチャイナこそ、素直じゃねぇなァ」
「五月蠅いアル」
掛け声なく繰り出したストレートは難無く避けられ、仕返しの代わりに分厚い本が寄越された。
意図がわからなくて首を傾げる。
「何アル?」
「保健室行ってくっからチャイナはそれ読んでなせぇ」
「命令すんなヨ!」
ひらひら手を振りながら校舎に入っていく後ろ姿を睨んで、溜め息まじりに昼寝しようと瞼を閉じた。


それから、アイツは学校に来なかった。

PR
この記事にコメントする
+Name+
+Title+
+Mail+
+URL+
+Comment+
+Pass+
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[271] [270] [269] [268] [267] [266] [265] [264] [263] [262] [261]

Copyright c kagerou。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By Mako's / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]