管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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眼鏡を変えるので視力はかってもらったら眼鏡の度数が倍近くになると言われました。
凹みますよね、日常生活でなんとなくわかっていても。
そう言ったときの母も怖かったです。
怖いよ、盤若の面みたい。

まぁ常日頃の行いが悪いから仕方がないんですけどね。





それでは百人一首。エイプリルフールネタでグダグダです。
















夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
よに逢坂の 関は許さじ





ミントの残り香





縁側を歩いているとハラリハラリと、何処かから風に舞って、桜の花びらが鼻先を霞める。もう春だ。だからこそいつもより眠いのかと欠伸しながら思う。
障子を開けると、寝巻きのまま文机に向かう後ろ姿が目についた。
どうせまた、狂暴な想い人にでも恋文を書いているのだろう。この人も俺と同じでデスクワークには向いていないから。

「近藤さん」

「おう、おはよう! 総悟は早起きだなぁ」

既に隊服をかっちり着込んでいる俺を見て近藤さんは偉いなァと顔を綻ばせる。
それに微笑み返し、障子を閉め、近藤さんの隣にちょこんと座る。
どうした? と首を傾げられ此処へ来た用件を思い出し、真面目な話を装い、少し低めの声を出す。

「近藤さん」

「ん~?」

「俺実は、近藤さんのこと大っ嫌いなんでさ」

「えぇっ!?!?」

筆がポトリと大きな手から落ちる。一、二行字の書かれていた紙に点々と墨が散る。
あぁ、勿体無い。書き直さなくちゃならないな、あれじゃあ。
口をぽかんと開けたまま何も言わない近藤さんに、プッと噴き出してしまう。

「そ・・・総悟君?」

「冗談でさァ。俺が近藤さんのコト嫌いなわけねぇじゃねぇですかィ。ヤだなァ、信じちゃうなんて」

「なんだよ、冗談かァ。びっくりさせんなよぉ」

はぁぁぁ、と安心したように息をつく近藤さんは素直なだけにからかい甲斐がある。
だからといって、土方程からかおうとは思わないけれど。
土方の方が反応が異常で面白いし、それにあまりからかい過ぎて土方みたく自分の言うことを信じてくれなくなったら困る。
“好き”のたった一言も、近藤さんと土方じゃ捉えるその言葉の重みが違うように。
まぁ、近藤さんは疑うなんて出来ない人だけど。

「あ、そっか。エイプリルフールなのか・・・」

「そうでさ。土方さん、多分気付いてないだろうから言わないでくだせぇ。あの人にたくさん嘘つこうと思うんで」

「あんまからかい過ぎるなよ? トシは純情なんだから」

「心得てまさァ。それじゃ、土方さんにお茶出ししてきやすね」

「程々になぁー」

障子越しに声を聞き、程々になんて無理だろうと苦笑する。
小道具の茶を煎れ、今度は土方の部屋の障子の前に立つ。

「起きてやす?」

「なんだよ」

すかさず返ってきた返事に、乱雑に障子を開く。
此方も机に向かっていたが、書類の束が足元に散らばっている。徹夜明け、とかだといつもよか短気だから面倒くさくなるけどエイプリルフールは一年に一回だけだ。
今日はとにかく、嫌がらせを沢山しないと。

「何の用だ」

「ひでぇなァ。茶煎れてあげたんですぜ? あんたの為に愛をたっぷり注いだってのに」

「殺意の間違いだろ。ってかお前がそんなことやると気持ち悪くて堪んねぇんだけど」

それを狙ってやってるんだから、と殊更ゆっくり、自分の行動を強調するように机の空いたスペースに湯呑みを置く。
どうやら徹夜明けではないらしい。チラリと表情を見た限り徹夜明け独特のピリピリした感じはなかった。それなら遠慮せずにどんどんやんなければ。二十四時間という限られた時間、しかも七時間ばかしロスしているのだ、有効に活用しなければならない。

「土方さん、近藤さんが漸くあの人のこと諦めたようですぜ」

「マジでか」

「嘘に決まってんだろィバーカ」

「・・・・・・」

ムッ、とするのが空気を介し、伝わってくる。
単純だ。呆れる程に。
それが土方という男であって、他の隊士たちが何故恐れるのか未だにわからない。
鬼の副長なんて言われて、怖い顔して怒鳴ってっけど、怖いとは全く思わない。

「俺チャイナに告白されたんでさァ」

「マジでか」

「だから俺ァ土方さんが好きだって言ったらお幸せにっつわれやして。あんたのこと幸せにしなきゃな、って思ったんですけどね、なかなか・・・」

「オイオイオイ。何でそこで俺の名前が出てくる? 何でチャイナ娘はアブノーマルな話に引いてねぇんだ? それにお前に幸せにされる筋合いはねぇだろ」

「今日の夢の話ですからねェ、よくわかんねぇや」

「夢の話かよっ!!!! 今する必要ねぇだろーがァァァ!!」

青筋たてた土方は盛大に怒鳴り散らし、ハァ、ハァと肩で息をした。朝からそんなテンションじゃ一日もちやせんよ、呟くとペシンと書類の束で叩かれた。
これは世で云うドメスティックバイオレンス。パワーハラスメントだ。
お熱い人に合わせられる程螺子が緩いわけでもなく冷めた目で見つめると出てけと一蹴された。

「じゃ、また来まさァ」

「もう来んなッ!!」

怒鳴り声を背にそそくさと部屋を出る。
煙が漂い、立ち込める霧のようになっていた部屋から出ると余計空が青く感じる。
こんな日は散歩して駄菓子食って昼寝するのがちょうどいい。
駄菓子屋でチャイナに会ったら思いつく限りの嘘並べて喧嘩して。

エイプリルフールは俺の為だけにあるな。
と半確信に近いその考えを頭のどっかに押しやり、見廻りに出ようと桜舞う縁側を歩き玄関へと向かった。





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