管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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今日のノルマは4作仕上げる事!・・・なのですが1作しか出来てません。ダメだこりゃ、ですよね。
という訳で雛祭り。











「何?コイツ寝てんの?」 

コートを脱ぎつつ、テーブルに突っ伏している沖田の顔を見ると、心地よさそうに目を瞑っている。 

その隣で、近藤は熱心にクロスワードを解いている。 

「ああ。起こすなよ」 

「わかってるけどよ・・・」 

腑に落ちないっつーかなんつーか。雛あられ食いたい、っつうからわざわざ買って来てやったのに。 



そんな中、沖田は昔の夢を見ていた。 








Ma cherie 番外編 









「姉上」 

「どうしたの?総ちゃん」 

「あれ、何ですかィ?」 

畳の上に寝そべり、両手で頬杖をつき、訪ねた。あれ、とは総悟の真っ正面、畳2畳も使って飾られてる七段飾りの事だ。 

「雛人形よ」 

「・・ひな・・人形・・・?」 

キョトン、と首を傾げる仕草は、何処から如何見ても少女そのものだ。 

その可愛らしさにクスッ、と微笑み、姉のミツバは続けた。 

「そう。今日は女の子のお祭りの日なの。それで、このお人形を飾るのよ」 

だから、姉上は粧しこんでいるのか、と漸く総悟にもミツバが豪華な着物を着ている訳がわかった。 

もう一度雛人形に目を戻し、下からゆっくり目線を上げていく。 

階段みたいなものに赤い敷物が敷いてあり、一番下の段には黒地に金色で模様が描いてある篭などの飾り、その上の段にも同じような嫁入り道具類。五段目には五人囃子・・とかいうムサイ男共。四段目には男の人が三人並んでいて三段目には三人官女とかいう袴着た女の人達。で、二段目には左大臣と右大臣っつうか白髭のおじさんコンビ。 

で、一番上には常識的に幸せそう(?)なあの二人。十二単衣とかいう着物の重ね着はすごいとは思うけど、どう見ても美人には見えない。歯は黒く塗ってあるし、どうしてこんなのと結婚しようと思ったのだろう。・・たぶん、自分の頭じゃ考えても意味がないと思うし深くは追求しないけど。 

全部眺め終わったところで、ミツバが声をかけた。 

「総ちゃんもお粧しする?」 

「えっ?でも男・・・」 

「あなたなら平気よ。一緒に写真撮りましょ?」 

にこやかにそう言われると断れない。一応、プライドぐらいはあるのだが、この人の手にかかればそんなもの、塵とかす。それ程、大事なんだから仕方がない。 

「・・・わかりやした」 

「ほんと?じゃあ少し待ってて!色々準備しなくちゃ」 




一時間後、鏡の前に座っていたのは姉上にそっくりな女の子だった。真っ赤な蝶の着物を着て、白粉ぬって紅さして。自分ではないみたいだった。 

「可愛い~!さすが総ちゃん!」 

ギュッ、と抱き締められて、鏡の中の俺が花のように微笑んだ。 



―――――姉上が喜んでくれるなら、なんでもしよう 



「ほら、写真撮るわよ」 

「へい」 

笑顔で、総悟は姉のもとへかけて行った。 




* 




「ん~?」 

「総悟、起きたか?」 

重い目を擦り、顔を上げると窓から射し込む光が目にしみた。思わず目を閉じると、また、眠気がおそってきた。 

「オイ、人気モデルパシっといて寝てんじゃねぇよ」 

「自分で言うなィ」 

顔を上げ睨みつけると目の前にコンビニの袋が降ってきた。 

温いおこたからわざわざ手を出し袋の中を覗くと、頼んだ通り、雛あられが入っていた。 

「・・・どうした?総悟」 

「にやけてんぞ。キモイ奴だな」 

「うるせぇやィ。アンタにはこれやんねぇからな」 

にやけて、なんかいない。夢の余韻が残っているからか、ほんの少しだけ、過去に浸っていただけで。 

「甘酒やんねぇぞ」 

「あ、飲みまさァ!」 

「人の話きいてる?おまえ」 


聞いているに決まっている。こんなに傍にいて好きな人の声を聞き流すなんてあり
えない。 



でも、なぜだろう。いまだけは――――― 







目蓋に蘇る、ハラハラと散りゆく梅の花

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