今日、ハリーポッターのDVDを買いました(親が)。で、今までみてたのですが、感動。
シリウス大好き。でもやっぱ省略が多いですね。原作じゃロンがクィデッチ入ったとか、とくたいせいがどーのこーのあったのに。
関係ないけど、沖楽で百人一首。今日のはスランプ。めっちゃくちゃスランプ。
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづくも同じ 秋の夕暮
愚者の誓い
眼鏡を、拾った。
土方さんの部屋の中、書類の山々の間に無造作に投げ捨てられていた黒い縁の細身な眼鏡。書類出来るまで部屋から出ないでください。なんて格下の山崎に言われ、渋々引き込もってた土方さんはどうやら煙草をきらしたらしく、潔癖症の土方さんの部屋にしては珍しくゴミ箱からゴミが溢れてるその腐海に煙草の箱が無数に転がっていた。
鬼の居ぬ間に、と眼鏡を持ち出しそのまま外回りへ出た。
今日は雲が多いお陰で日差しが強くなく過ごしやすいでしょう、と天気予報で言っていたがその通りになった。それでも空を見上げると眩しいけれど。
UVカットとかついてないかと勝手に期待して持ち逃げしてきた眼鏡をかけてみた。
度は入ってないらしい。
UVカットもしてくれないらしい。
ただの伊達眼鏡かと、外そうとしたら小指に変なものがあった。
それは、赤く細長い。
(糸・・・・・・?)
最初は血だと思ったが、血がこんな風に綺麗な線にならないことをよく知っていて。腕を上げると地面にその糸が落ちていた。
というか、地面が真っ赤だ。赤い糸がうじゃうじゃとひしめいていて、軽く頭痛がする。
何だこの異常な光景は。
目眩がしそうになって眼鏡を外した。
・・・地面は普通の汚い灰色に戻っている。もしかして、と思いもう一度眼鏡をかけるとまたまた赤い絨毯が。
「・・・何だ、この眼鏡」
暇な事だし、謎の解明でもするかと小指に結ばれている糸を辿り、歩く。
この先に何があるのだろう。と色々想像しながら。
「・・・お前何してるアルカ」
「えっ?・・・ああ、チャイナか。未知への挑戦してんでィ。邪魔すんな」
顔を上げると見慣れた桃色の髪が夕陽に照らされ、不思議な色になっていた。その白く細い指先にも赤い糸が結んであり、その先は地面のごちゃごちゃに紛れている。
何なのだろう、これは。赤い糸、なのは分かるが。
「・・・赤い糸、ねぇ」
「赤い糸!?それ知ってるヨ」
「え」
予想外の反応に顔をたぐりよせていた糸を取りこぼしそうになった。何でこいつが知ってんのに俺は知らないんだ。
それに少しむっとした。
「赤い糸ってあれアル。小指の先っちょに結ばれてて、運命の人と繋がってるネ。お前、見えるのかッ!?」
「・・・まぁ、」
じゃあこれは。“運命の赤い糸が見える眼鏡”なのか。
なんつーファンシーなものを土方さんは持ってるんだ。あの顔でテクマクマヤコンとかエクスペクトパトローナムとか杖だかコンパクトだか持ってやるのか。
・・・似合いそうだし笑えるけど。
たぐりよせていた糸がぴんと張った。どうやら、俺の運命の相手とやらの糸が分かるらしい。どんな奴かと期待を込めてその糸に視線を這わす。
「チャイナ・・・」
御約束というかなんというか。予想通りで期待外れな事実に落胆する。
どうせなら、姉上みたいな。綺麗で物静かで落ち着いた、品のある人が良かった。というか姉上が良かった。理想が高い、というのは分かっているけど理想と正反対なこんな餓鬼が、と思わずにはいられない。
「どうした?まさか、私に繋がってたりするアル?」
「そのまさかでさァ。どうしてくれんでィ。俺の細やかな夢と希望を・・・」
「いいことだろ~。私お前と繋がってるって思ってたし」
「え、」
冗談を、と顔を引きつらせる俺に、にへっと神楽は馬鹿にするように笑いかけた。
・・・さらに追い打ち、って感じだ。
「お前も感謝するヨロシ。あたくしみたいな気高い女が運命の相手なんだからなっ!!」
「・・・はぁ。すんげぇテンション下がる」
楽しそうに笑う女王もどきに俺の呟きは届かなかったらしい。
こんな眼鏡拾わなければよかった、と後悔しても後の祭りだ。屯所に戻ったら一番に仕事の邪魔してやろうと心に誓い、眼鏡を外す。
先程まで街を橙に染めていた夕陽は雲に隠れ、雨が降りそうだ。
天気と同じような気分だな、と眼鏡をかけ楽しそうにはしゃぐ馬鹿神楽を見て思った。
#70
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