バイバイさよなら。
涙の変わりに笑顔を浮かべ
見送るわ 遠く旅立つ貴方を
心配しないで 大丈夫
私は独りやってゆけるわ
寂しい夜がくるかもしれない それでも
心はそばにあるから
テスト散々でした。平気が五点近く下がった。これはもう、開き直るしかないと開き直ってみました。文面的には分からないだろーけど(笑)
昨日箱根の関所に行って参りました★
凄かった。江戸時代だね。新撰組だね。徳川家だね。大奥だね。家族の中で一人だけ興奮しておりました。
資料館の方には、手形とか小判とか当時使われたものだとかこんもりあって、その中でも火縄銃と刀に興味津々でした。銃の太さが大根二つ分ぐらいあるやつとか、すごかったです。
あとお土産コーナーに様々な家紋のキーホルダーがうっていて、その中の蝶の家紋が可愛かったです。
お母さんが「うちの家紋変えらんないかなァ」といった程に。
それじゃ微妙なとこできれてる野球小説。銀魂ですよ。おおぶり興味あるけど見たことないし。
来いよ、と不敵に挑発する、細められた目だけは好きだった。
あの人はもう俺の世界から消えたけど。
SIGNAL
キーン、と耳鳴りのような、それでいて小気味のいい音は周りのコンクリートやら何やらに反響し、鼓膜に響きわたる。
打球は少しも減速することなく、重力というものを知らないかのように青く晴れわたった空に飛んでいく。
軽やかに、力強く。
五月晴れの空を。
「・・・流石だなァ、総悟」
空を見上げ、近藤はぼんやりと呟いた。
二割の確率で、沖田はホームランを放つ。打率も四割だしそれはもう、野球の神に愛されているとしか思えない程みごとな腕だ。その上、名ピッチャーでもある。上下左右、自由自在に投げ、スピードもそこそこ速い。これはもう、野球をやる運命だったのだと思わずにはいられない。
細くしなやかな白い腕に目一杯力を込め、陽に輝く黄金の髪をなびかせバットを振る姿に男女問わず見惚れてしまう。
確かに、遠目で見たら女に見えないことは無い。それを言うと怒るから、彼には言わないが。
とにかく、才能はあるし、努力をしていたのだが、高校生になってから急に、あまり熱心に練習に参加しなくなった。それでも、自主練を部の誰よりも行っていることを、近藤は知っているけれど。
ふぅ、と一息つき、沖田は手に持っていたバットを無造作に放った。
ベンチの背もたれに掛けておいた上着をはおり、ぺちゃんこな鞄を肩に掛ける。そのまま歩き出そうとする沖田に、キャッチャーマスクを外し、銀時がふてくされた顔を向ける。
「・・・沖田君、俺に練習させる気ある?」
「ありまさァ。でも此方も練習しなきゃなんねぇんで」
「練習、ってよォ帰る気マンマンじゃねぇか。どこが練習する態度だコノヤロー」
珍しく正論を述べる銀時に、肩をすくめ沖田は鞄を置いた。
自分だって真面目に野球やってないくせに、と言いそうになるのを堪える。
ピッチャーとキャッチャーがサボり癖を持っていて週に二、三回しか来ない、この部はこれで平気なのだろうかと沖田は思う。
「・・・分かりやした。ユニフォーム取って来るんで待っててくだせぇ」
少しぬかるんだグラウンドを足早に横切り、沖田は校舎の方へと歩いていく。その後ろ姿を眺め、近藤は銀時に話しかけた。
「・・・総悟もなァ、野球好きなんだけどな」
「全然そう見えねーんだけど」
やる気の欠片も見ることができない目をして、ぽりぽりと銀時は頭を掻いた。
「そういうお前だって、真面目にやってねぇだろ?」
「俺のはアレだよ、アレ。ただ単に興味があるだけだから」
その“興味”とやらが野球に対してあるのではないと聞こえ、何に、とそう尋ねるようと口を開くと、背後が急に騒々しくなった。
何事だ、と振り返れば、野球部員、先輩も監督も皆がグラウンドの端に固まっていた。人垣の間、その人の群れの中心に、沖田の姿があった。
そういや、ここ一週間ぐらい沖田は部活を休んでいた、だからかと思い至る。
部活に不真面目でも腕は確かで、驕るようなことをしないさっぱりとした性格だから部員にいじめられるような事もない。
まぁ、いじめられるような性格ではないのだが。
「旦那、やりやすよ」
「・・・はいよ。ってか着替えんの早くないか?」
そう?と首を傾げ、グローブを手にはめ、沖田はマウンドに立った。
ランニングをしていた柔道部、サッカー部までもが立ち止まりフェンスの外側から黙ってグラウンドを見つめる。云わば沖田は“期待の星”なのだ、この学校の。
中学の時から才能がずば抜けていたものは有名な私立に引き抜かれ、地元の学校に来るものは少ない、というかいない。そんな中、沖田は全国の何校もの学校からスカウトされたにも関わらず、地元の平凡なこの学校に入学した。いかなる事情があったにしてもその事実が学校側にとって嬉しいのだ。来年度の入学希望者が増える云々。
そんな経営者の腹の内など、関係無いのだけど。
マウンドに立った沖田の目には、いつも幻覚が見える。
(─────土方さん、)
目の前のホームベース、キャッチャーマスク、ミットをしてしゃがんでいるのは旦那なのに。
被る。
黒髪と。
だから、此処に立つのは好きじゃない。あいつはあの人を裏切ったから。それなのに重なるのは、土方を認めてしまっているからか。
─────気にくわない。存在自体が。
脳裏に浮かぶ、憎い面目がけ思いきりボールを投げつける。
ボスッ、とボールがミットに食い込んだ。想像の土方の顔面に当たり、胸がすうっとする。野球するたび土方さんのこと思い出すけど、ボールを投げるたびストレス発散出来るのだしそう悪くはない。
本当は思い出したくないのだがそれは置いといて。
「・・・にしても凄い歓声だな」
「えっ?」
投げ返されたボールを受け取るとおぉ!!とかそういった感じの声が耳に届いた。気付けば金網の向こうに人盛りが出来ていて、その全てが此方を見ていて驚いた。
「気付かなかったとか言っちゃう?」
「ええ・・・。ちゃんと練習しねぇで何やってんでしょうね、あの人達」
「俺らに人の事言えっか?」
苦笑交じりに言われ、確かにその通りだと沖田は頷いた。
高校に入ってから、練習に参加しなくなったのは意義が無くなったからだ。元々野球なんてやる気、無かったのだが、中学のとき気まぐれで壁当てしていたら監督に無理矢理野球部に入らされ、そのまま何となくやっていただけだ。
楽しかったけれど、今は。
「・・・一つ聞いていいか?」
「へい・・・?」
見物人が減るまで待っていようと、チームメイトが練習しているのをぼーっとグラウンドの隅の木陰に備え付けられたベンチから眺めていると、それまで目を瞑っていた銀時が口を開いた。
改まった口調に沖田は振り返る。
「・・・何で、そんな必死に投げてんだ?」
「・・・?」
言葉の意味が分からない。
必死、って、俺はそんな風に投げているのか?
普通に投げているつもりなのに、些細な事に動じない、旦那が気にする程に?
「いつも、悲しそうな顔して投げてんだよ、気付いてないだろうけど。・・・何かに囚われるのを避けるように」
そんなことない。
それなのに、否定の言葉を言えない。俺が一つの物事に囚われるはずが無い、それを自分自身が誰よりも知ってるのに。
「純粋に、野球を楽しんでないだろ?」
真っ直ぐに、自分を見つめる双眼から沖田は顔をそらした。キャッチャーはピッチャーの事をよく理解するだとか、異変に気付くだとか言うけれど、ここまではっきりと分かるなんて珍しいのだろう。
─────そんなとこまで似ているなんて、どこまで皮肉な運命なのだろう。
ねぇ、土方さん?
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プレイボール。
↑曲のイメージ。
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