管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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幸せについて本気出して考えてみた


というポルノの歌がありますが、本日私も考えてみた。
結果的には、幸せは人それぞれなんだから他人に自分のエゴを押し付けちゃいけない。というような結論なんですが多分、「でもさ、」とかそういうノリでまた幸せについて考えて、また同じ結果に辿り着きそうな予感がします。現に今回で二回目の堂々巡りですから。




気付けば二月も終わりますね。今年は閏年なので29日までありますが………………………ってそうだ。29日は合格発表ですよ。意識したら緊張してきました……。




気を取り直して、フライング気味だけど雛祭りネタです。
















いにしへの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に にほひぬるかな





桜桃香





懐かしい声が名を呼んだ。
まどろみの中響くその声は、世界で一番好きな人のものだった。





『そうちゃん』

と、耳に馴染んだ声が俺を呼ぶ。だけど眠くて、瞼を開けずにそのまま寝っ転がっているとゲシッ、と腹を蹴られた。姉上はこんなことしない。それなら、誰が。

「ぃって………」

「そうちゃん……大丈夫?」

「さっさと起きねぇてめぇが悪いんだからな」

お前だって寝起き悪いくせに。言い返そうと思ったが、そんなことして子どもだと思われたくはない。渋々腹部を抑え、上体を起こした。力加減は少ししたらしい。だけどそれでも不快になるぐらいズキズキと痛い。

竹刀で勝負したら負けないのに。

この男は竹刀よりも喧嘩の方が強いし、年齢の差に比例して力の差もあるし、喧嘩だったら絶対に俺は負けてしまう。これは不可抗力というものらしい。

「そうちゃん、今日はお雛様の日よ」

「あれ? 今日でしたっけ…?」

明日だと思っていたのに。
ぼーっとしている頭を抑えつつ立ち上がる。
雛人形はこの間出した。午前中に出さなければいけないとかで、いつもより少し早起きして、近藤さんとか呼んで古くて少々汚れてしまっている七段飾りを。
その雛人形は母上の形見らしい。ずっとずっと小さい頃に死んでしまったから朧気にしか憶えていないけれど姉上に似た綺麗で儚くて優しそうな人だった。

「さぁ、おめかししましょ」

ニッコリと微笑む姉上に、今年こそは断らなくちゃと意気込むけれど、また負けそうな気がする。

「姉上、僕はもう病気になりやすくなんてないですから……」

「あら、だからこそやるのよ」

楽しそうに鼻唄を歌う姉上にこれ以上抗えなくて、助けを求めるように俺の部屋に立ち尽くしている土方を見上げる。けれど、これから俺が何をされるか分かっていない彼は不思議そうに首を傾げているだけで、俺を助ける気配はない。
今年も姉上の成すがままにされてしまうのか。近藤さんは止めてくれるわけないし、来年こそは事情を知った土方に姉上を止めてもらわなければ。




「……なんなんだ?」

半引きずられるように部屋を出ていった沖田を見送ってから、土方は縁側へ出た。すると、どこかからう~んと唸り声が聞こえてきた。
幽霊かと思ったがその声は聞き慣れたもので、角を曲がってみると縁側に座っている近藤がしきりに何か呟いていた。

「……近藤さん」

「おっ、トシ。なぁなぁ、でかいシャボン玉が出来ないんだけど」

「ってかあんたは何やってんだよ……」

手にピンクのシャボン玉液の入れ物を持ち、近藤はその液をよくつけたストローに向かって真っ赤な顔をしてふーっと強く息を吐いた。
が、小さなシャボン玉が出来るだけ。

「トォシィ~っ」

「知らねぇよ…」

『明日うちに来てくれって姉上が言ってた』と沖田が昨日言っていたから来たものの、何の為に呼ばれたのか未だ分からないままだ。
来る前に近藤さんに尋ねてみたらただ単に飯食うだけという話だったけれど。沖田の朝の様子からしてそれだけじゃないようだ。

「なぁ、沖田なんかやんのか?」

「総悟? ああ、あれな。見てのお楽しみだ」

今年はどんなだろうなー、と呟く近藤さんの表情はまるで『夢見る乙女』で、一体沖田は何をするのか予想もつかない。
ただ、ミツバははしゃいでいた。沖田は凹んでいたけれど。

がらがら、と障子が開きミツバが顔を覗かせた。

「あら、二人ともこんなとこにいた。そうちゃんの準備出来たわ。今年は今までで一番綺麗よ」

ふわりと笑み、彼女は再び部屋の中へと入っていってしまった。
綺麗、って何のことだろうかと悩んでいると、ほら、行くぞと声をかけられた。顔を上げると、朗らかな笑みを浮かべた近藤さんが、部屋の方を指差していた。

「ほら、早く食おうぜ」

「……ああ」

近藤さんに続いて部屋に入ると、道場では見ることの出来ない色とりどりの料理が並んでいた。例え同じ具材でも作る人によってこんなにも綺麗な物が出来るとは何だか凄い。
道場にいるやつらもこんな料理が作れればいいのに。むさくるしい連中には無理だとはわかっているがそう思う。

どうしたらこんな料理が作れるのだろうと悩んでいると、チリンと鈴の音が響いて、音のした方へ顔を向けた。
そこにいたのはミツバでも近藤でもなくて。
赤地に金の蝶が刺繍されている着物を着た金髪の少女がうつ向き気味に座っていた。頭に着物と同じ朱の大きなリボンと鈴をつけたその少女は、沖田と同じ年格好に見える。
そういえば、沖田がいない。てっきりミツバと一緒にいると思っていたのだが。


─────この少女、沖田に似ていないか?

「本当に綺麗だなぁ、総悟。やっぱ姉弟だな。そっくりだ」

「まぁ、お世辞言っても何も出ないわよ。……でもそうちゃんは本当綺麗よね。この着物もね、お母さんが着ていたものなんですって」

「へ~。そりゃすげぇなぁ」

「姉上も近藤さんもやめてください。僕、そんなこと言われても全然嬉しくないです」

ムスッとした瞳と偶然視線が合った。瞬時に頬を紅潮させいつもは憎まれ口しか吐かない唇をきゅっと噛む姿は普段の沖田からは想像も出来なくて。
笑みが零れる。

「あ、お前笑ったなっ!!」

「笑ってねぇよ」

「うそだっ!絶対いまバカにしただろ!!」

耳まで真っ赤にし、沖田はキッと俺を睨む。こうしていたら女にしか見えないのに、剣の腕は俺よりも上だなんて信じたくない。

「さぁ、食べましょ。そうちゃんも座って。折角作ったご馳走なんだから。あったかい内に、ね?」

「……はい」

未だムスッとしたまま沖田は座布団の上に座り直した。それにしても、これが毎年恒例なのだろうか。沖田の女装が?
なんで、女装? いや、女装というには語弊があるかもしれないが、雛祭りなら沖田は内裏をやるべきなのではないか? これじゃお雛様が二人になってしまう。

でも、まぁ、彼女が楽しそうならばいいか。




「なあ、トシ……」

近藤が副長室の障子を開けると、黒と金、二匹の猫が眠っていた。沖田はソファの上でいつものアイマスクをせずに、土方は机に突っ伏して眠っている。
微笑ましい光景に起こすのもどうかと思い立ち去ろうとすると、寝起き独特の眠たそうな声が聞こえた。

「…近藤さん」

「起こしちまったか?」

「いや……。寝ちまう予定は無かったからな。どうした? 近藤さん」

頬に書類の字を写したことに気付かず、土方は寝起きの一服をと、煙草に手を伸ばす。が、ライターが見当たらないらしく書類をかき分けあちこち探している。

「別に大した用じゃねぇんだ。総悟にコレ、渡そうと思ってな」

「? 何ですかィ、それは」

「っ!? おまえ、起きてんならそう言えやっ!!」

「何で一々“起きましたー”って言わなけりゃなんねぇんで? 馬鹿馬鹿しい。んで、近藤さん、何ですかィ?」

起きて早速喧嘩を始めるのかと思いきや、気分ではないらしく沖田は此方を振り返り後ろ手に近藤が持っているものを尋ねる。
土方も此方を見るのを待ってから、ジャーンと口で効果音を言いながら手に持っているものを見せる。
それは、出張した時に買った流し雛。
ここいらでは中々見掛けないもので物珍しさについ買ってしまったのだ。赤と青の着物を着た一対の紙人形が丸い紙の上、仲良さげに寄り添っている。

「へぇ、流し雛か。これを川に流すんだろ? 代わった風習だよな。流しちまうなんて」

「流すんで? こんなすげぇもんを、勿体ない」

「確か厄災を一緒に流すとかでよ。今から流しに行こうぜ。今年も平和に過ぎますようにって」

「いいですねィ。んで、帰りに土方の金であんみつとか買いやしょうや」

「オイコラクソ餓鬼。何ほざいてんだ」

ニヤリ、と沖田は土方に笑み、自分のポケットから土方の財布とライターを取り出す。それに、ハッと土方は自分のズボンを探る。けれど無かったらしい。青筋立てて土方は沖田を睨みつける。
バッ、と土方が立ち上がると同時に、沖田は駆け出す。

「ささ、近藤さん。行きやしょうや!!」

「待ちやがれェェェェェ!!!!」

二人がじゃれあう姿を見て、相も変わらず二人とも仲が良いな、と微笑みながら後を追った。





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