管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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皆で鍋を囲んでる中、父が言った一言。

「マヨネーズ持ってこい」

マヨネーズ!?と聞き返す声が母と重なる。瞬時に脳裏に浮かぶのはとある漫画の生活習慣病予備群。
・・・びっくりしました。ちくわに掛けてました。よかった。ついに我が家にマヨラーが、と思いました。ああびっくり。

それではスランプ気味だけど初期で百人一首。













難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき





母国情緒





授業終了のチャイムの音とともに、馴染みの二人があたしの側に寄ってくる。眠りこけそうな頭をなんとか覚醒させ、顔を上げると丁度前の席にその二人が座ったところだった。
朱色の髪の中国からの留学生と、黒い髪の地味な少年。
一昨年まで男子校だった此処は、女子が極端に少ない。三年は全員男だし、二年の女子は十人いるかいないか、一年はあたしを含めて十三人。
それに女子といっても親友、は男子。というどちらかというとあたしみたいな男子から見て恋愛対象に入らないような女子ばかりだ。
「本当なんですか沖田さんっ!!」
「・・・何が?」
いきなり詰め寄られて目を点にすると、新八の言葉を補足するように神楽がおにぎりを食べながら口を開いた。休み時間の度におにぎりを食べているのにあたしよか小柄なのは体質のせいか。胃袋がブラックホールなんじゃないだろうかと思う程よく食べる。
「土方と付き合ってるって噂アル。ま、噂は噂・・・」
「ああ、それホント」
「ですよねぇ・・・って、ええぇぇ!!!!」
耳がきーんとなり、指で塞ぐと泣きそうな顔で見つめられた。徐に指を耳から離し、何でそんなに驚くの、と返す。
その質問に、二人が目を点にした。顔を見合わせ、どちらが言うか相談するように視線交わす。
この二人出来てるんじゃないの、なんて思うけどそれはないな。ペアルックしてる姿を想像出来ないし、個人的に嫌だし。
「あんなやつのどこがいい、って話ネ」
「え、土方さんにいいとこなんてあったの」
言った途端、教室の入り口辺りから派手なくしゃみが聞こえてきた。案の定それは土方さんで、鼻を擦る姿はじいちゃんと重なる。
なんで、とかどこが、とか問われても困る。別にあたしは好きではない、あんな鳥の巣頭。もっとかっこいい人があたしの好みだ。
「・・・それは言い過ぎですよ。頭だって悪くないし、顔も悪くない、剣道だって凄いじゃないですか。・・・沖田さんには劣りますけど」
「つーか、それならなんで付き合ってるアル?あのヘタレのこと好きじゃねぇんだろ?」
「責任とるんだって」
「何の?」
「キス、の」
「ハァァァァ!?」
二人の奇声に、教室内にいた人が一斉に此方を見る。土方さんも此方を見て、一瞬だけ目が合った。おもいっきり睨みつけて目をそらす。苦笑された気がするけどそんなの気にしない。
「私聞いてないヨ!!お父さんは許しませんっ!!」
「本当ですよ!!・・・というかいつのまに?」
「昨日。・・・放課後に」
続きを、と目を輝かせる二人に渋々昨日の事を話す。




宿題をやろうと、昨日は半年間この学校に通っていて初めて自分から図書室へ行った。授業で来たことはあったけれど、休み時間に使ったことは一度も無かった。読書するなんて、あたしのキャラではないから。
それで、目当ての本を取ってきてさっさと終わらせ帰ろうとしたのだけれど。

眠気に襲われた。

睡眠と勉強のどちらを取るかと言われたら、世界中の約八割が睡眠をとるだろう。
というのはあたしの持論だけれど。


目が覚めたのは、唇に何か触れたからだ。
目を開けて顔を上げると、夕暮れをバックにボサボサ頭が立っていた。
「何、したの」
「別に」
あきらかに戸惑ったような顔をしてる。隠し事が苦手だ、この人は。それは昔からそうで、中学の時からよく悪戯したり、騙したりと色々してもどんな酷いことだろうとあまり怒らなかったのは多分純粋だからなのだろう。見た目からは全然想像できないけど。
「・・・嘘つきは舌を抜かれるべきですよ。抜いてあげようか?」
「止めてくれ。ってか何で分かるんだよ。餓鬼の頃から嘘ついたら絶対ばれるよな」
「そりゃあ、土方さんが嘘つくの苦手だからでしょう。だから正直に言って」
さぁ、と促すと困ったように頬を掻く。
「・・・キスしただけ、」
反射的に投げた辞書が顔面に見事命中した。顔面押さえしゃがみこむ彼の前に立つ。殴りたい衝動にかられるけどなんとか堪える。
ありえない。寝込み襲うなんて腐った男のすることだ。元から腐ってるのは知ってたけど、ここまでとは知らなかった。
「警察に引き渡しましょうか?」
「ごめんなさい・・・」
「・・・どう責任取んの、腐った綿菓子」
漸く顔を上げた土方さんの鼻が赤くなっていて、以外と鼻が高かったのかと今更知った。
というか酔っ払いみたいだ。
「綿菓子ってこの髪型のこと?酷くないか、それ」
「酷い?それはあんたでしょ」
「責任取るし、ちゃんと。・・・付き合おう」
「はぁ・・・?」
責任取る為だけに付き合うのかよ。
そう言おうと思ったけれど、宿題をまだやっていなかったことを思い出した。早く終わらせなきゃ。
別に付き合うったって何か特別なことするわけじゃないだろう。
それにこんなのと付き合ってやろうというボランティア精神に満ち溢れた人も、いなさそうだ。
しょうがない、妥協して首をたてにふる。
「はいはい、別にいいよ。それじゃあまた明日」
「・・・おう」
とっとと帰れと思ったのが通じたのか、颯爽と鼻を押さえながら図書室を出て行った。




「・・・という感じ?」
「沖田さんってボランティア好きなんですね」
「本当ヨー。私アレと付き合うなんて嫌アル」
「あたしだって。でも責任取るって言われてしょうがなく、あのモヤシと・・・」
「モヤシって何、俺のこと?」
「あ、土方。ココア買ってきて~」
「何で呼び捨て?しかも無視?ってか俺の話してたんだろ。地味に喜んでいい」
「気持ち悪いから喜ぶならあたしの視界の外でお願いします」
ガッツポーズしながら小銭を握り、教室を出てく後ろ姿を眺め溜め息をはく。
「・・・なんか鬼嫁みたいネ」
「いいようにあしらってますね」
「幼馴染みだし扱いは簡単な人だしね」
再び聞こえた小さなくしゃみは遠くからで、それさえ聞き分けてしまう自分の耳が嫌になる。

素直じゃない、なんて誰かに言われなくても分かってる。それでも、素直になるなんてきっと無理だから。
どうか、きっかけを。





#88
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今日、ノリノリで勉強してる自分が怖かった識月です。気分転換にあまり聞かない方のラルクのアルバムにしたからでしょうか?う~ん・・・。とにかく明日は怠け者になりそうでおそろしや。
あ、明日はバイオハザードではないかっ!!絶対見なきゃ。先週やってた1は録れなかったんですが2は録りたい。そして映画を見に行きたい。

それでは百人一首。読んだ人が悩むようなものを書きたくなりました。ただの駄作じゃんとか思うけど。













朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木





雨雲と風車





カラカラカラ・・・。歩を進めようと足を上げた瞬間に一斉に風車が鳴りだして神様とか不吉な予感とか信じていなくても何かあるかも。と思う。
風はさっきから強かった。それでも、風車は回っていなかった。なのに何故今更。
「・・・じかたさん」
「・・・」
「土方さん」
「・・・あ?」
とんでいた意識を、呼び戻す声は聞き慣れた死神の声だった。
屯所を出た時は一人だった。走って追い掛けてきたのだろうか。わざわざ何のために。
また、悪戯でも思い付いたのだろうか。勘弁して欲しい。

最近、老けたかもしれないと思うようになった。「土方さん、老けたんじゃねぇですかィ?さっさと隠居して俺に副長の座譲りなせぇ。」とか言われなくなった代わりに、自分で。
例えば立ち上がる時。

よっこらしょ。
言ってから慌てて口を押さえる。大体、こう言う時は誰も周りに居ない時なのだが、辺りを見回してしまう。
他には、夜中に突然足をつったりだとか。身動きしてねぇのにつるなんておかしいだろ、自分につっこみ入れても意味はなく虚しさが膨らむだけだ。

「・・・煙草屯所に忘れてやしたよ。携帯灰皿も」
はい、と渡されて箱に悪戯が無いか確かめる。前に一度、中身がチョコレートにすり替えられていたことがあって、あんときはチョコが溶けて大変だった。
よく駄菓子屋に売っている、煙草のように紙で包装してある安いチョコ。煙草を吸うのなんざ習慣、というか癖みたいなものだから、一々煙草チェックなんてしない。チョコだと気付くはずはなく、火を着けたら急に茶色い液体が煙草から垂れて、服についた。
そこで漸く偽物だと気付き、早速総悟を怒鳴ったのをいまでも覚えている。

携帯灰皿を開けると、中から何かが出てきてドキリとした。
・・・ビックリ箱の中身のような、一瞬見ただけでお手製だと分かる、俺にそっくりの人形だった。
「・・・何これ」
「ハロウィンでさァ。お菓子くれても悪戯しやす」
楽しそうに話す横顔は子どもらしいあどけなさが残っていて、いつになればコイツは大人らしくなれるのだろうと余計なお世話かもしれないが思った。
―――――そしてずっと総悟はこのままなのだと、思い至る。
「・・・俺に利益ねぇってか先に悪戯すんなよ」
未だに回り続ける風車の列は、この界隈の果てまで続いているらしく、茶色い壁の飾りのように、赤い風車が遠くまで並んでいる。誰も居ない、人気の無い道。きっと何処かの神社で祭でもやっているのだろう、笛の音に太鼓を叩く音、それに交じり賑やかに騒ぐ人々の声が耳に届く。

―――――風はもう、止んでいた。

「総・・・。ったく・・・祭りにでも行ったのかよ」
先程までいつも通り俺の斜め後ろを歩いていた彼を振り返るが、何もなかった。
祭好きだからな、今日は許してやるかと一人きりの道、携帯灰皿を握って歩いた。

風車は、止まることがない。







夢を見た。
目覚めは最悪、とまではいかなかったが、頬が濡れていた。そんな悲しいものでは無かったはずだが、と裾で顔を擦る。

祭りへ、行った夢だった。
近藤さんと俺と、総悟の三人で。
こないだの見回りの時のことが忘れられなかったからだろう。一人で行かせず、ついて行ってやれば良かったか、と気になっていた。
俺の財布を自分の財布のように持ち、総悟は俺の金で近藤さんに奢ったりして三人で食べ歩いた。
「土方さん、金魚掬いで勝負しやしょう」
「いいぜ」
屋台の奥、折り畳み式のちゃちい椅子に座っているおっさんを、知っている気がした。誰だっけな、と悩んでいると早く、と急かされる。総悟は既に、カップと掬うやつを手に持っていた。
二人分の料金を払い、手渡しでセットを受け取り、背後で見守る近藤さんの合図で勝負は始まった。
よーい、どん。
リズム良く金魚を掬っていくが、紙は切れそうで危うい。総悟の事を気にする暇もなく掬い続けていると、終に紙は破けた。隣を見ると、余程自信があるらしくニヤリと笑っていた。
「・・・で、何匹ですかィ、おじさん」
総悟につられて顔を上げたその時、思い出した。
この初老の優しい顔をした男が誰だったか。

総悟が贔屓にしていた駄菓子屋の主だ。
―――――今は亡き、親切な店主。

そうだと気付いた途端声を掛けられた。
「・・・気付いちまったんだねぇ。君は帰らなければいけないな。・・・彼と、ともに」

その時の寂しげな笑顔が印象に残っている。
それと同じ笑みを、別の人間がしていたからだ。

行ってきまさァ。
挨拶代わりにか、ふざけて寄越された投げキッスを呆然と見ていると、不意に微笑まれた。
初めて向けられた純粋な笑みに思わず見惚れてしまった俺の顔面、御守り代わりにしていた姉の指輪を投げつけられる。縁日で買った安っぽい指輪を、総悟が買ったものだからと大事に肌身離さず彼女が持っていたそれを、今は、総悟が肌身離さず持っている。
大事に持ってなせェ。と言う声は既に遠く、俺は行けねぇんだから御守り持ってるべきなのはお前だろ、と返せなかった。


足を、怪我した。
馬鹿馬鹿しいことに暗い夜道を一人歩きしていて襲撃を受け、全員ねじふせ一息ついたところをドンと。
飛び道具はルール違反だろ。射った奴の利き手らしい左手に刀をぶっさし思った。
貫通はしていなかったが無理をすれば障害が、と涙目で休むよう言う近藤さんの手前始まった引きこもり生活。その、二日目だった。


総悟は帰らなかった。

帰ってきたけれど、言葉も話さない、動きもしないただの屍だった。
・・・これまたコイツも、足をやられたらしい。
この間俺を襲ったやつらのアジトに一番隊を率いて踏み込み、最後の一人を追い詰めたところまでは良かった。けれど、予想外の隠し通路があったらしく、そこから飛び出してきたやつの放った弾が、足の付け根に命中した。
仲間が駆け付けた時には既に意識が無かったが、側には総悟が斬った二人が倒れていた。
小雨の降るなか泣き続ける近藤さんを見ていられなかった。


『・・・もしもし土方さん?』
「・・・あれ。何、終わったのかよ」
はぁ、と溜め息が聞こえてきて自然と顔をしかめてしまう。電話してる最中に溜め息はないだろう。馬鹿にしすぎだ、俺を。
さっき渡されたばかりの指輪を光で透かしてみたりし、弄ぶ。
『ひじか・・・さん』
不自然なぐらい声が弱々しくあきらかに呼吸が速い。
瞬時に、長年の経験から悟った。
だが、無理矢理そんなことないと自分にいい聞かせた。
「・・・どうしたんだよ」
『俺、あんたに二度と会えねぇみてぇでさァ・・・。足撃たれちまったし、毒までまわってきやしたし。・・・だから・・・最期に、』
「何言ってんだよ・・・」
プツリ、と音がした。
残酷に鳴り響く機械の音は、繋がりが切れた証だ。
故意に切ったのかどうかは不明だが、もし電話をかけてもその携帯の持ち主は出ないだろう。
あいつは、今この時から永久に、夢の世界の住民になったのだから。
会えるわけがない。
もう二度と。
犇々と感じた絶望は、今は何処へ行ったのだろう。


「・・・何でお前あの時電話したんだよ」
「えっ・・・?ああ、アレ? 着信履歴のいちばん最後の人に電話かけただけでさァ」
何その地味な理由。最後に話したかったのは俺だったのかと浮かれた自分が馬鹿みたいじゃねぇか。ふざけんな。
仕返し、とばかりに美味しそうに飲んでいたココアを横取りし、一気に飲み干してやった。
あ。
と、か細く漏れた声は俺に同情してるわけではなく俺に消化されるココアに対してでまた、むかむかしてきた。
「・・・甘っ」
「でしょうねィ。―――――最後に話したいと思いやしたぜ。俺は、あんたと」
「・・・は、」
先程と真逆の事を言われても。茶化そうと視線を合わせると、真摯な瞳が俺を射止めた。
急に態度を裏返すのを止めてほしい。振り回される方からしたら迷惑で堪らない。
「・・・ドラマの再放送の予約取り消して欲しかったんでさァ。俺もうずっとみれないから。だから、土方さんを選んだんです」
「お前なっ・・・!!」
一瞬でも、可愛いとこあるんだな、コイツにも。なんて思った自分が恨めしい。
「・・・夢、視すぎなんでさァ。土方さんは」
指輪をじぃっと眺めながら総悟は呟いた。
「確かにな」


コツ。爪先に何かが当たった。それは、見慣れた自分のライターで、つい先日から無くしていた物だった。
また、悪戯しやがったのか。あの馬鹿は。
そんな暇があるのならもっと有意義なことをすればいいのだけど。

いまはもう動かない風車を一つ拝借し、手土産に持っていってやろう。
花束なんかよりも喜ぶだろうから。
気が付けば 文化祭まで あと二日。

あ、一句作っちゃった。ではなく、最近なんか寝付きが驚く程良いです。来月辺り寝付き悪くなりそうな嫌な予感がしますが。

授業でバレーやってるのですがどうやらそれで左腕の筋おかしくしちゃったらしいです。頭タオルで拭くのすごく大変でした。内側の筋を今日、外側の筋を一昨日やっちゃったから・・・。昨日も左腕痛くて、寝違えたかなと思ってたら・・・。

最近小話が書けません。普通の小説になっちゃう。














小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ





未来日記





何処かの気違いな人間が鬼を狙い、穴を開けた障子は今はもう直されていて、綺麗に、朝日に白く光って見える。
眩しい。と、鬼は目を細める。

眩しいものが嫌いな訳ではない。白いものも、嫌いじゃない。

嫌いなのは、朝。

何処かのクソ餓鬼は、餓鬼らしく朝の方が騒がしかったりするので、昼間より機嫌の悪い朝は、より最悪な結果になる。

朝日を背負って、静かに障子を開く。
予想通り布団は丁寧に隅に追い遣られて、部屋の主は文机の上で何かを一生懸命書いている。
達筆というには聞こえの良すぎる、古代文字が紙の上でひしめきあっているのだろう。
「部屋に入るときはノックしろっつうくせに自分はしやせんよね」
「悪かったな。朝は頭が働かねぇんだよ」
脳からの伝達司令は手足に伝わる途中で行方不明になる。だから、心意気はノックした。

こんな時に襲撃を受けたら間違いなく、軽くて手傷、重くて命を落とす羽目になる。直したくても直せないこの体質は物心ついた時には体に染み付いていた。

―――――世間に知られてなくてよかった。

代わりに、一番危ないヤツがこの事を知っているけれども。
「・・・で、何の用ですかィ」
「近藤さんに起こして来いっつわれたんだよ。・・・形だけでも、来た方が良いだろ」
「俺のが朝強いの知ってるはずでさァ・・・近藤さんも」
そうだ、近藤さんもちゃんと知ってる。それでも、無理矢理俺を来させた理由は何か・・・別にある。
「心当たり、あるんでしょう?」
・・・ある。
昨日仲違いしてたから仲直りさせてやんなきゃな。きっと、近藤さんはそう思ったに違いない。口には出してないけれど、視線が言っていた。
優しい、というのは長所であるが、時に短所にも成る。だから、その逆もあるんじゃないか。
例えば、俺を見ると直ぐに何かを仕掛けてくる癖も、俺から見たら短所でしかないのだが、いつかそれに救われる日が来るのかもしれない、という訳だ。期待はしないほうがいいが。
「何書いてんだ?」
「日記を、少々」
意外な返事に、ああ、コイツにも今更思春期が来たのかと思っていると、見やすかィ? と問われた。
「・・・ああ」
本当は他人の日記など見るべきでは無いのだが、気になる。好奇心なんて柄じゃないが。

その日記は未だ書き始めらしく漸く1P書かれた程度だった。予想を遥かに上回る綺麗な字に、少し驚く。俺より上手いかもしれない。
書き始めの一行に、疑問を感じた。
「・・・五月、五日?」
「ええ、そうですぜ」
今月は五月ではない。というか、過去に遡って書いてるのだとしても、半年前のことだ、はっきり覚えているはずがない。
そこから中々読み進めない俺に、総悟は答えを口にした。
「・・・それ、未来日記なんでさァ」
「未来日記?」
「ええ。近頃近所の餓鬼の間で流行ってるらしくて。面白そうなんで便乗してみる事にしやした。なんでも、書いといたことが現実になるらしいですぜ」
成程、俺なら絶対に思い浮かばない事だ。子どもならではの遊びだ。
俺には、未来なんざ考えられない。そうしたのは自分自身なのだが。

明日、生きているかも分からないのなら今日の事だけを考えればいい。
未知は未知のままでいいじゃないか。それが未来なわけだし。

次の行に目を落とすと、普通の日記らしく“今日は、”で始まっていた。寺子屋でよく出た日記の宿題を思い出す。俺は面倒で毎日同じ事を書いていたが、近藤さんは真面目に毎日違う内容を書いていたらしい。
「今日は、寝起きの土方さんにきりかかる事から朝が始まりました・・・」
声に出して読むと、総悟が続きを暗唱する。
「その時は、裾をかすっただけだったけど、昼間、市中見回りの最中に斬りかかると、土方さんは鞘に手をかけたが反撃せずに俺に殺られてしまいました。葬式で俺は号泣してしまいました」
後頭部を狙い、日記を投げつけるが、後頭部に当たることはなく総悟の手に受け取られる。
「・・・そうでもして殺したいかクソ餓鬼」
「ヤだなァ。当たり前じゃねぇですかィ。誕生日に死ねるんだ、幸せだろィ?」
「どこがだ!!!!」
「皆が命日憶えていてくれるんですぜ?喜べよ」
そう言われても命日を勝手に(たとえ当たらなくても)予言されるのは不快極まりない。もう、そうなるとしか信じていない物言いだし。
「―――――でもよ、お前泣いてくれんだろ?俺が死んだら」
一度も見たことのない泣き顔を、冥土の土産に持って行けるのならいいのかもしれない。そういう弱さを、見たことがないのだから、最期ぐらいは―――――ってそんとき既に俺死んでる。
「・・・ええ。目薬準備しやすからねィ」
「・・・泣けよ」
まぁ、どーせというか絶対、俺は子どもの日に死なないし総悟も俺の葬式で泣かないのだが。

もしも近藤さんが死んでしまった時、彼はなくのだろうか。

そんな、ありえない未来を想像した、俺を総悟は揶揄する。
「俺が一番長く生きるんでしょうねィ・・・憎まれっこ、世にはばかるって言うじゃねぇですかィ」
「それなら俺も負けねぇよ。でも、」
―――――もしも俺がお前よりも先に死んだら、花ぐらいは供えてくれ。

呟きは朝の冷えた空気に漂う。張り詰めた糸のような変に白い顔して筆をしまう姿を、立ち去ることも出来ず見届ける。
「・・・いいですぜ。とびっきり綺麗に枯れた花を供えてやりまさァ」
強い眼差しで言う。“冗談は終わり”だとでも言うように。
一番、未来に目を向けていなかったのは、躊躇っていたのは、俺じゃなくて総悟だ。死を恐れてなんかいない、近藤さんの隣に自分がいない事の方が、遥かに恐ろしい。
「・・・だから、俺が死んだときぐれぇ泣いてくだせぇ」
「・・・玉葱用意しなきゃな」
泣く気なんざ微塵もない。それでもきっと涙は俺の意思に反して流れるのだろう。
約束を守るために。





#26
今日、両親が結婚式にお呼ばれされたので家でまったりテレビ見てました。
・ディグレ七話分
・ガリレオ
・こないだやってた、HERO
・コナン 瞳の中の暗殺者
・有関倶楽部

どんだけ見たのって話ですね(笑)

それじゃ、元は小咄だったはずのもの。












偽りの自分を愛して欲しい訳じゃない。でも、偽らなければ誰も俺なんかを愛してくれないから。

貴方の為、歌おう。





迦陵頻伽





「今日のスケジュールは?山崎」
「えぇっと・・・秋葉原でのコンサートですね。今日はそれだけなので午後はゆっくり休めますよ」
あっそう。と呟き、沖田は窓に額を当て、流れ、過ぎて行く景色を視界に映した。ミニスカートからのぞく、白い足を組む。
いくら、ヒーターをつけているからといって、流石に下着がギリギリ見えない程度の長さのスカートを履いてると、若干寒い。
太股と太股を擦るようにすると、山崎の視線が自然と、そちらに向く。
「何見てんで?変態。死ねや」
「・・・そんな態度、ファンの皆さんには見せないで下さいよ。性別不詳の萌キャラっていう設定なんですから」
「お前が勝手にそうしたんだろ」
冷めた目で睨むと慌てて、山崎は言い返してくる。
移動時間の暇潰しは、やっぱこれしかない。
「俺じゃないです!社長が勝手にっ・・・!」
そう言われ、ああと思い当たる。あの松平とか言う鼻の下伸ばしたおじさんなら、そういうこと考えそうだ。会うたび会うたび、鼻の下伸ばしてデレデレして酒呑もうだの何だの絡んでくる。
嫌いじゃあ無いけど。ああいうおじさんは面白いし。
「さ、着きましたよ」
「へいよ。じゃあ猫被んなきゃなァ・・・」
組んだ足を元に戻し、膝上までの靴下を履き、ヒールが適度に高い靴に足を突っ込む。
車に乗るたび靴と靴下を脱ぐ俺を、山崎はおかしいと言うけど、クセだから仕方がないと思う。
「・・・リハ無しでいいんですよね?」
「あたぼうでィ・・・じゃなかった。当たり前でしょ、俺を誰だと思ってるの?」
自分の事を“俺”と呼ぶのは許してくれたけど、特徴のあるこの話し方だけは直せ、と言われた。これが中々難しい。しかも、中性的な感じの話し方にしろなんて言われても。オカマになれってか?
「・・・俺が惚れ直すぐらいの美声をお願いしますね」
「・・・お前を惚れ直させるだけじゃなくて人気スターの一人や二人、落としてみせるから」
衣装はばっちしらしいし、メイクなんて必要もない。山崎から自分専用のマイクを受け取り、ゆっくりとステージ裏の階段から明るい、そして暑いステージへ上がる。
段々と沸き上がる歓声。この時に感じる雰囲気は好きだ。目を瞑ると白く眩しくて、耳に響きわたるのは、俺を求める歓声。・・・殆どがムサイ男共なのは些か気に入らないけれど。

必要と、されてる。

おれが、こんな沢山の人に。

ステージの真ん中まで歩き、真っ正面を見る。そこそこ広い特設のステージから見渡すと、一番後ろの人は視力がいい俺でさえ、顔が見えない。
「おはようございまぁす」
少し地声より高い声を出し、造り笑顔を浮かべると、低い歓声が再び沸き上がる。
こんなにも容易く人に幸せを与えられるなんて。少し、少しだけ自分を偽るだけで。
世の中、不思議な事ばかりだ。
「じゃあ、一曲目行きま~す」
キャラをどんなに明るく変えたって、歌うのは暗い歌ばかりでしかも、地声なのだから意味はないと思う。
それでも、聞いてくれる人が居るのなら俺は、歌うけど。

歌ってる間は客の事なんか考えられないけれども、間奏の間だけは、どんな顔してるんだろとかそれだけを考えてる。
いつものように最前列の人の顔を見回していると、俺の本当に目の前にいる人と目が合った。

なんか、見たことがある気がする。

ロッカーみたいなワイルドな服を着ているその人は、漆黒の髪で蒼い目をしていた。
似てる、似すぎてる。

あの人に。

その後はそれだけが気になった。
「今日はありがとうございました」
満面の笑みを浮かべて手をヒラヒラ振ると、今日はこれで最後であろう野太いワーともウォーとも違う叫び声が上がった。
それに背を押されるようにして、ステージ裏へ戻る。
「―――――お疲れ様でした、沖田さん」
「おう」
マイクを手渡し、顔を見ると、ファンと一緒にノリノリで聞いていたのか、少し紅潮していた。
一番身近にいる、俺のファンだと思う。
「・・・あの、」
呆れつつ山崎を眺めていると、後ろからスタッフに声を掛けられる。幾度か話したことのある人で、趣味も合うし結構気楽に話をすることが出来る。
「なんですかィ?」
「あの、ファンだと言う人が・・・」
遠く後ろに居るのは俺が今日ずっと気になってた人で、心の中であっと思った。
「ダメですよファンなん―――――」
「車ン中呼んでくだせぇ」
「えっ、ちょっ、沖田さんっ」
「心配ならお前もくりゃいいでしょ」
足早にワゴン車の中に入ると、後から山崎が着いてくる。その後ろから、さっきの男の人が。

一番後ろに俺、その隣に山崎。向かい合うように動かしたその前に男の人が座る。
「・・・沖田さん?」
「―――――アンタ、今人気のTOSHIだろィ」
「えっ・・・」
「しっ・・・知ってるでござるか!?」
若干、キャラの違いに引いたけれど、間違いないらしい。
―――――これが、この人が、トシ。
デビュー以来八年間、出したCDは必ずオリコン一位になるし、毎年何かしらの賞をとっている、日本のトップアーティスト。
その人が、秋葉原で俺なんかのライブを、しかも目の前で見ていた。
「・・・あ、あの、サイン貰ってもいいでござるか」
「・・・ってかその前にそのキャラ止めてくだせぇ。気持悪いんで」
そう言うと、一瞬目を丸くした後、リストバンドを外した。
・・・目付きが、変わったような気がする。
「・・・そりゃ悪かったな。でもよ、そういうお前だってキャラ違うだろ」
「え」
山崎が大口開け、間抜けな顔で、一瞬にして態度が一変した目の前の“スター”を見ている。
その気持ちは分からなくもない。
「・・・リストバンド越しの二重人格なんですかィ?」
「ちょっと違うな。リストバンドした時だけ素の自分に戻れんだよ」
そっちのほうが複雑な気がするけれども、敢えてそこはスルーしよう。
問題は、この人がこの場所に居ること。
「で、何しに来たんで?」
「酷い言いようだな、先輩に向かって。・・・ま、別に?ファンがコンサートに来るのは当たり前だろ?」
「・・・アンタの方が、上手いのに? 俺の歌はありきたりで他の歌手が歌ってんのと似たり寄ったりですぜ? それに比べてアンタは、自分で作曲も作詞もする。―――――誰もが、考えらんないような、綺麗な歌を」

姉上は、この人がインディーズだった頃からこの人の歌が好きだった。名前だけは俺も知っていたけれど、どんな歌を歌うのかとかは知らなかった。
ある日姉上に連れられてったのは、デビュー後、初めてのトシのライブだった。
―――――それまで、この人依然に音楽全般に興味を持っていなかったのに、魅了された。
悔しい程に、“綺麗”としか言いようのない旋律、哀しい程に、現実味を帯びた歌詞。
“ファン”になった訳じゃない。音楽に“囚われた”だけで。
「・・・たとえそうだとしても、俺はお前の声が澄んでて綺麗で・・・心に響くから聞きに来たんだ」
あまりにも真っ直ぐに目を見つめながら褒められて、呼吸が一瞬止まった。

なに、この人。

こんな風に褒められた記憶は随分古くて、どう反応すればいいのか困る。
間違っても、ありがとう。は言いたくない。
「―――――ありがとうございます」
代わりに礼を言った山崎を、はっ、として見る。
「・・・何で山崎が言うんで?」
「だって、沖田さん褒められても絶対ありがとうって言わないでしょう?」
「そうだけど・・・」
「こんな風に偉大な人に褒められたんだから、ちゃんと言わなきゃいけないんです。・・・俺が、沖田さんの代わりに」
甘えてしまう。こいつは優しいから。
それじゃあいけないと、分かっているのに。

「・・・」
「・・・お前と歌いたい」
「えっ、」
俺らの話が一段落ついたのを見計らって、呟かれた言葉に驚いた。
「お前に、俺の歌を歌って欲しい」
嘘のような言葉に固まった俺を見て、満足そうに彼は笑った。
修羅場の最中に年とった彼が悪い。というわけで銀さんのお祝いも延期され、そして忘れられ・・・ないですよ。まだ新八の描き終え・・・たかな。何処かいっちゃったのかな?
とにかく心意気はおめでとう。おめでとうって顔文字はどれだろう。



それでは昨日千影サマに意地で送った短編というか小話?千影はやっぱ王子だと思います。

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