管理人・白野 識月<シラノ シキ>の暴走度90%の日記です。 お越しのさい、コメントしてくださると嬉しいです。
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家族で横浜そごう&マルイ行ってきました。歩き回り過ぎて足が痛い・・・。
でも、洋服買ってもらえました♪
赤のチェックのスカートと、迷彩のズボン、あと長Tを三着も。嬉しいものですね♪

さて、明日は年賀状仕上げなくては・・・。



それでは、クリスマスで百人一首。初期設定なので沖田は女の子です。














山里は 冬ぞさびしき まさりける
人目も草も かれぬと思へば





黒と白の境界線





「あれ? 土方さんじゃないですか」
「・・・あ、沖田」
呼ばれた方へ顔を向けると、夜の闇を彩るイルミネーションに亜麻色の髪を煌めかせ、ぼんやりと沖田が立っていた。
そういや今日、夜番だったかと思いあたる。年頃の女がこんな晩に一人かよ、と馬鹿にしたくなるが、ホッとしているのも確かだ。
その安堵が、どのような想いからうまれたものかは分からないけれど。
「今年は一人なんですか? 去年はデートしてたのに」
「まぁ、な」
「あ、わかった。ふられちゃったんでしょ? かわいそーに」
全く可哀想などと思っていない朗らかな声で言い、俺の不幸をけたけた笑う。そういうことに慣れているということと、傷付かないということは必ずしもイコールで結びつくわけではなく若干傷付く。
コツコツと夜の沈黙に靴音を響かせ、立ち止まる俺の前まで歩み寄った。
「別にフラレてねぇからな。一人でいたい気分なだけだから」
「フラレたから一人でいたい気分なんでしょ? 聖夜にフラレるなんて運無さすぎ。流石土方」
「人の話聞いてる? 違うつってんだろ。ってかさりげない呼び捨てやめてくんない」
一方的に別れを切り出されたのは先月の話だ。

仕事と私、どっちが大切なの。

お決まりの台詞と、頬に残された痛みと赤い跡。街中で突然、ドラマのワンシーンのような振られ方したあの時、確か隣にこいつはいた。
さっきのように笑顔で同情された覚えがある。
「・・・にしても珍しいな。お前が皆と呑んでねぇなんて」
今日みたいなイベントのある日でも夜番は当たり前のことながら必要なのだが、近藤さんが屯所でワイワイ騒ぐモンだから見廻りに行きたがるヤツなんざそうそういない。
だから例年、俺が勝手に決めていたのだけど、今年は沖田が行くと言ったから、強制的に見廻り行かされる不幸な犠牲者は出ず、隊士から女神だと崇められていた。
「酔いを覚まそうと思って。・・・それに、クリスマスツリーをクリスマスに見たこと無いからな、って。でもよく考えたら寂しい寂しい土方さんと同類に見られてたんでしょうね」
「何お前反抗期?」
静かな道を並んで歩いていると、イルミネーションやクリスマスツリーに浮かれるカップルと度々擦れ違った。やはり、普段より町を出歩く人々(とはいえ主にカップルだが)が多い。
横をチラリと盗み見ると此方もイルミネーションに見惚れていた。
うっとりと見入る表情が幼くて、気付けば頭を撫でていた。
驚いたような目で見られ、ぎこちなく手を離した。
「・・・何してんの、土方」
「悪ィ、つい・・・」
「つい、って何」
触れたい、と思ってたらいつの間にか頭を撫でていた。
とは中々言いにくい。それに、こいつは子ども扱いされるのを妙に嫌うから、余計。
どうせなら、抱き締めていればいいものを。
我ながら奥手過ぎる、この両手は。
「・・・久々に呑みましょうよ」
くいっと猪口を煽る仕草が親父くさく、先刻の幼い表情とのギャップが激しい。
「いいけど、悪酔いすんなよ」
「え?私悪酔いなんかしないけど」
前に飲み比べをした時は酷かったのだ。これ以上ないって程絡まれて。
本人は忘れたようだが。
「・・・あ、クリスマスプレゼント、何か欲しいのありますか?」
「え、いきなりどした?」
今まで、一度たりともプレゼントらしいプレゼント(その他贈り物系)を貰った事がなくて、困惑してしまう。

くれると、他の誰でもない、お前が言うのなら欲しい。

けれど素直には受け取れない。裏があるのかも、と思ってしまう。
「ねぇ、何もないの?」
「・・・あるには、あるけど」
「なになに?」
「唇を・・・」
「唇?」
途端にきょとんと首を傾げ、沖田は聞き返す。
無理も無いか、こんな馬鹿げた、願い。きっとこれは気の迷いなんだと、思い込もうとして思い込めない。
気付いてしまったからには、もう戻れない。

だからといって、沖田にそれを押し付けるというのも。
「やっぱ、なんでもねぇや」
「・・・何ソレ。あんたそれでも武士?言いたいことあんならはっきり言って」
「・・・一応俺、お前の上司だけど」
「あ、そうでしたそうでした。・・・じゃあなくて、さっきのプレゼントの話です」
変なとこ頑固なのは餓鬼の頃から変わってないんだな、と保護者目線で考えてしまい苦笑する。

恋人として守りたいのか、妹として守りたいのか─────・・・。
「キス、してくんね?唇に」
「・・・・・・」
聞こえなくなった足音に振り返ると、真ん丸い目を更に丸くし、立ち止まっていた。
・・・流石に驚くよな。と予想はついていても、実際に驚いた表情を見ると此方までドキッとする。
「やっぱ、無理だろ?」
「・・・いえ。武士に二言はないんでしょ。やってやりますよ」
戦場に行くような強い眼で半ば睨み上げるように上目で見つめられる。
そういう風に、して欲しいわけではないのだけど。こういう言い方してしまった以上、仕方がないのだ。
「嫌なら、いいけど」
「土方さんになら、ファーストキスぐらいあげてもいいですよ」

え。

と思うと同時に唇が重なっていた。
胸元の布をぎゅっと握り、少し背伸びする初々しさが愛しくて、おずおずと背に腕をまわす。
音をたてず、触れていた唇は離れていった。
無言で、沖田は俺を見つめる。

─────そっと離れた唇が、名残惜しい。

「・・・これで満足ですか? 土方さん」
「・・・・・・本っ当ムードの欠片もねぇ女」
「それは、しょうがないですよ。そういう風に育てられたんで」
そういうもんか、と首を傾げる俺を、眩しそうに見上げた、赤い瞳は優しげに細められていた。





#28
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昨日、校長先生との面接練習があったのですが、すごく緊張しました。
私の前に男子二人がその練習やったのですが、二人とも部屋から出てくる時「すっげぇ緊張した」って言ってまして。その言葉聞くと余計に緊張してくるよね、と思いつつもいざ出陣。
注意された点は歩くのが速い、あと内容をもう少し充実させる、という二点でした。座ってるとき、足の先から爪先まで緊張してふるえてましたよ、冗談抜きで。

そうそう、パイレーツオブカリビアンのワールドエンド見ました。
本も借りて読んでましたがそこかしこ違うとこがありました。というか結末付近殆ど違いました。でも映画のほうが良かったです。ウィルはお父さんを助けられたし。でも、悲劇的な結末ですよ、ウィルとエリザベスにとっては。織姫と彦星のようなものですし。




それでは、百人一首。
今凄く腹痛に苦しんでます(関係ないですが)。

















おほけなく うき世の民に おほふかな
わがたつ杣に 墨染の袖





光の部屋





その部屋は、真っ白い。
ここまで白い部屋や物を見たことがない、と沖田は思った。
窓や壁、床、天井も、この巨大な立方体は純白だ。そこにある、調度品の数々も、真っ白い。ソファにタンス、鏡台にテーブル。何処で買ったんだろう、そんな馬鹿馬鹿しいことを考えてみるがそこまで真面目に考えていないから、答えも何も出ず、常にその疑問が頭から消えない。
まぁ、それでも生活に差し支え無いから気にしないのだけど。

この部屋の中で唯一異質な“モノ”がある事に気付いたのは何時のことだっただろう。気付けばいつの間にかいるこの部屋、純白を汚すように“俺”がいる。
床と壁の境界も、部屋の広ささえも分からないその中、何故か俺は、暗黒色の隊服を身に纏い居るのだ。
音の無い、牢獄のような此処に。

頭が痛い。鐘が鳴っているような音が頭の中響き続けている。
此所に居る時だけ起こるこの頭痛は何か責めているようで、気がめいる。だから出ようとしても闔は内側から開かないようにか、凹凸も何もなくまっ平で、窓も高い位置にある上小さい。

ずっと、この場にいなければならないのか。成す術も無く途方に暮れていると大抵、このドアは開かれるのだ。その向こうにはいつも、闇を背負い立つ、同じ隊服を着た鬼がいる。

見張りなのか、救いの手なのか、分からない。

「総悟」

それでも名前を呼ばれれば、反射でなのか、それともそれ程迄に逃げ出したいのか、とにかくこの体は反応し、胸に解放感を抱き、差し込む闇へと歩き出す。

「頭痛いんでさァ」

「・・・気の持ちようで治るだろ」

そうだろうか、疑問に思いつつも自分に暗示を掛けるように痛くない、痛くないと心の中で数度呟くと、嘘のように痛みが引いた。

凄い。もしかして超能力者だったりしちまうのか。

話し掛けようと、爪先を見ていた視線を上げると其処には。

(姉・・・上・・・・・・?)

手の甲で目を擦るが其処にいる人物は変わらない。
黒い隊服は白い着物に、果ての無さそうな闇は再び元の真っ白な部屋へと、全てが白色に戻っていた。

けれどこれは幻だ。

姉上はもういない。

「そうちゃん・・・」

「─────姉上」

笑いかけるわけでもなく責めるわけでもなく、ただ見守るようにそこに立っている。
何か、言って欲しい。
怒っていても、悲しんでいるとしても、もっと声を聞かせて欲しい。
けれど、いくら待っても佇んだ儘で。

「赦してくだせェ・・・姉上」

俺さえいなければ。
姉上はもっと幸せになれたんじゃないだろうか。子どもで我儘しか言えなくて、姉上を独り占めしようと躍起になって、俺は自分の事しか考えられなかったから。
こんなにも、大切な人なのに。自分の幸せしか考えて無かった。姉上は俺が守るんだって、馬鹿みたいに思って。

─────姉上は優しい人だから、俺を責めたりしないってわかってる。

それでも戒めのように、俺の中、姉上は在り続ける。
いつまでも。




「総悟」

聞こえた声に重い瞼を開けると、薄日を背に微笑む近藤さんが其処にいた。
今度こそ、本物の。

「・・・近藤さん」

寝ている間に日向になっていたらしく、ポカポカと暖かい。まだ頭がぼーっとしていて、転がった儘でいると頭を大きな手で撫でられた。
久し振りにそんな風にされて、胸がなんだか擽ったくなった。照れ隠しに、子ども扱いしねぇでくだせぇと呟くと、少し痛いぐらい力が込められた。

「うなされてたぞ。・・・障子でも破いちまったのか? すげぇ謝ってたなァ」

「・・・違いやすぜ。姉上の七味使いきっちまっただけでさァ」

本当はそんなんじゃないけれど。
・・・馬鹿馬鹿しくて、言えない。夢の内容なんて。あれは妄想の産物で、本物の姉上じゃないからこそ尚の事。

「そういやトシの事も呼んでたな・・・。出張行っちまってからもう一週間経ったし、寂しいんだろ? 総悟」

「・・・別にあんな人いないほうが快適でいいでさァ。寂しい、なんざ全然・・・」

心の底からそう思っているのに、疑うように険しい顔をし、近藤さんは頭を撫でていた手を止めた。それを機に、上体を起こし目を擦る。
大分寝ていたらしく、寝る前に山崎が煎れてくれた茶がきんきんに冷えていた。

「総悟、来い」

「・・・へ?」

顔を上げると近藤さんが笑顔で両手を広げていた。そのままぎゅっと抱き締められる。

ちょっと・・・。俺はもう子どもじゃないんですけど。

「近藤さん、俺もう餓鬼じゃねぇんですけど」

「そんな事知ってるに決まってるだろ? お前は俺より強いし、頼りになるヤツだ。・・・だからこそ、たまには肩の力抜けよ」

別にそんな気張ってるわけじゃない。そんな面倒な事年中してるようなキャラじゃないし出来ないし。
けれど、そう見られてるってことはつまり、近藤さんからしたら未だ子どもだってことなんじゃ・・・? 物理的な意味ではなく、精神的に。
隣に並んでいるのだけど、と、こういう時、年の差が恨めしい。もっと早く産まれていたのなら。
なんて、考えてもしかたがない。

「・・・だからってこれはねぇでしょう」

「なら、膝枕にするか。それならいいだろ?」

「近藤さん、寂しいんですかィ」

「そりゃあ。毎日喧嘩してるお前ら見てんの好きだからな。ほのぼのとしててよ。・・・ほら、好きなだけ惰眠を貪っちまえ」

胡坐をかいた足の上に無理矢理頭を押し付けられ、髪をすくように、再び撫でられる。横になったことで、自然と瞼が重くなっていく。
うとうとと落ちていく意識の中で、微かに土方さんの声が聞こえた気がした。





#95
久々に駄文更新してみます。本当駄目駄目だから読まないで。・・・なんて無理なのだとわかっていますが。
嗚呼眠い。よし、私は寝ます。ってどんな宣言・・・。


それじゃ久々百人一首。
心が綺麗な人はこの世に何人いるんだろうか。














世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる





海の底の櫻色





声無き声は届くのだろうか。
大切な人へと。


「うわっ・・・激マズでさァ。舌がおかしくなりやすぜ、この味噌汁」
一口すすり、顔を歪め舌をべーっと出す、沖田の幼い仕草に顔をしかめ返し、土方は味噌汁を口に含んだ。

確かに、不味い。
今までで最低の出来だ。味噌を入れすぎたらしく、味が濃い。・・・隠し味にマヨを入れたのも原因かもしれない。マヨはやっぱトッピングに使うべきだ。
「・・・言葉の乱れを正せ。それでもお前は日本人か」
「それなら土方さんは性欲の乱れを正したらどうですかィ? 毎夜毎夜、女の人ンとこ行ってんだろィ?」
もきゅっもきゅっと沢庵を噛みながら、図星をさされ言葉がつまる。なんでこいつは、無表情で普通の会話の最中にこういう事を言えるのだろう。言いたいことをすらすら言えるのは、良いことだけど。


総悟が家へ来てから一ヶ月が経った。
それは則ち、総悟の姉─────ミツバが死んでから一ヶ月が経ったということだ。

彼女とは俺が勤めている大学で出会った。定期演奏会でピアノを弾く姿に一目惚れしてしまったのだと、目元を染め彼女は言っていたのを昨日のことのように鮮明に覚えている。実際、たった二、三ヶ月前の話なのだが。
俺が彼女の事を知ったのはそのもう少し後で、知り合い、休日や暇な時間を共にするようになった頃、同じ大学の違う学科に弟がいると紹介されたのが総悟だった。“神童”と、有名な一期生で、彼女と見た目が瓜二つなことに驚いた。だから、何処かで会ったような気がしていたのかと納得し、その弟の無口さに嫌われてるのか、はたまたただこういう性格なのか、とにかく付き合い辛そうな奴だと思った。

─────それが、同居することになるとは。

夢にも思わなかった。
「・・・姉上も浮かばれねぇでしょうねィ。あんたがこんなんじゃ」
「・・・うっせぇな」
「どうせ、姉上のこと忘れようと無理してんでしょ。そんなんするぐらいなら俺を追い出しゃいいのに」
「だから、違うっつってんだろ・・・」
確かに、ふとした瞬間、彼女が未だ傍に居るのだと錯覚しそうになる時はあるけれど、その所為で、って訳ではない。
ただ自分が弱い、だけ。

「─────たった、一ヶ月だけでしたね」

優しい声色に顔を見ると、寂しそうな笑みを浮かべていた。そんな表情が彼女のものと重なって見える。

たった、一ヶ月だけの、結婚生活。仁くそれは泡沫の日々だったけれど。
今までで、そしてこれから先も含めて一生の内で最も幸せな一ヶ月だった。誰も居ない、冷たく広いだけだった家は暖かく、燈を灯したように明るくなった。それは彼女の笑顔のお陰だったのだと思う。

未だこの家の所々に彼女の存在の欠片が溢れていて、歯ブラシやエプロン、スリッパ等が主の帰りを待つようにして残されている。
それを俺らは捨てられなくて、きっとこの家がある限り、永久にあり続けるのだ。
常に、胸の中に彼女が在り続ける為に。
「・・・時間なんざ関係ねぇだろ」
「嘘ばっか。もっと早く出会って、もっと早く告白して、もっと早くプロポーズしてりゃよかったって後悔しまくりじゃねぇですかィ」
顔に出てたのかと、そうしても仕方がないのに慌てて視線をそらす。小さく笑われたが気にせず、食器を下げる。
観察力があるというのも困りものだ。気付かれたくない本心は流石に気付かれないが、その周辺をかすめとるように、俺の言動の節々から感じとる。

それは本当に観察力が鋭いからというだけの理由だろうか?

「─────土方さん」
「うぉわっ・・・!!」
背後からいきなり聞こえた声に勢いよく背が跳ねる。何だと、返事しつつ振り返ると珍しく茶碗を下げにきていた。
本当、珍しい。
「何だよ」
「・・・俺、やっぱ出てきやしょうか」
「ハァ?」
何故そんなことを言うのかわからず、半ば裏返り気味な声で聞き返すと、戸惑ったような、滅多に見せない表情で狼狽した。
つられて俺まで少し狼狽する。何か変なこと聞いたか? ・・・いや、特別変わった事を聞いた訳ではない。それなのに何故こんなにも?
「俺、いねぇ方がいいでしょう」
「・・・味噌汁そんなに不味かったか? もうマヨいれねぇから許せよ」
「あんたそんなモンいれたんですかィ? 脳にマヨが回っちまってんじゃねぇの?」
「酷い言い様だな、てめぇ・・・。マヨが脳にいくなんざ人間の体の構造上有り得ねぇだろ。・・・・・・味噌汁の事じゃねぇのか?」
てっきりそのことだと思ったのだが。反応からして違うらしい。
それならば、ただ単に俺と居るのが嫌なだけか? だが、もしそうならば此所へ来るかと尋ねた時に断っていた筈だ。
思い当たるものなど、何も無い。
此所にはミツバの温もりが残っている。その上、総悟に行くアテなんざ無い。
「別に、あんたがいいならいいでさァ。忘れなせェ」
真摯な瞳で睨むように見上げられ、つい、頷いてしまった。─────これじゃ理由なんざ聞けやしない。
だが、いいか。

食器を水に浸し、総悟の後に続き居間へと戻る。好きな番組が始まったのかテレビの前、身動きもしない背中に哀愁が漂ってる気がして、もしかしたら自分も同じように哀愁漂ってんじゃないかと気になった。


─────欠けた心は独りでは直ぐに治せない。
だから・・・・・・寄り添い合うのだ、人間は。





#83
今日、ハリーポッターのDVDを買いました(親が)。で、今までみてたのですが、感動。
シリウス大好き。でもやっぱ省略が多いですね。原作じゃロンがクィデッチ入ったとか、とくたいせいがどーのこーのあったのに。



関係ないけど、沖楽で百人一首。今日のはスランプ。めっちゃくちゃスランプ。













さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづくも同じ 秋の夕暮





愚者の誓い





眼鏡を、拾った。
土方さんの部屋の中、書類の山々の間に無造作に投げ捨てられていた黒い縁の細身な眼鏡。書類出来るまで部屋から出ないでください。なんて格下の山崎に言われ、渋々引き込もってた土方さんはどうやら煙草をきらしたらしく、潔癖症の土方さんの部屋にしては珍しくゴミ箱からゴミが溢れてるその腐海に煙草の箱が無数に転がっていた。
鬼の居ぬ間に、と眼鏡を持ち出しそのまま外回りへ出た。
今日は雲が多いお陰で日差しが強くなく過ごしやすいでしょう、と天気予報で言っていたがその通りになった。それでも空を見上げると眩しいけれど。
UVカットとかついてないかと勝手に期待して持ち逃げしてきた眼鏡をかけてみた。

度は入ってないらしい。

UVカットもしてくれないらしい。

ただの伊達眼鏡かと、外そうとしたら小指に変なものがあった。
それは、赤く細長い。

(糸・・・・・・?)

最初は血だと思ったが、血がこんな風に綺麗な線にならないことをよく知っていて。腕を上げると地面にその糸が落ちていた。
というか、地面が真っ赤だ。赤い糸がうじゃうじゃとひしめいていて、軽く頭痛がする。
何だこの異常な光景は。
目眩がしそうになって眼鏡を外した。
・・・地面は普通の汚い灰色に戻っている。もしかして、と思いもう一度眼鏡をかけるとまたまた赤い絨毯が。
「・・・何だ、この眼鏡」
暇な事だし、謎の解明でもするかと小指に結ばれている糸を辿り、歩く。
この先に何があるのだろう。と色々想像しながら。


「・・・お前何してるアルカ」
「えっ?・・・ああ、チャイナか。未知への挑戦してんでィ。邪魔すんな」
顔を上げると見慣れた桃色の髪が夕陽に照らされ、不思議な色になっていた。その白く細い指先にも赤い糸が結んであり、その先は地面のごちゃごちゃに紛れている。
何なのだろう、これは。赤い糸、なのは分かるが。
「・・・赤い糸、ねぇ」
「赤い糸!?それ知ってるヨ」
「え」
予想外の反応に顔をたぐりよせていた糸を取りこぼしそうになった。何でこいつが知ってんのに俺は知らないんだ。
それに少しむっとした。
「赤い糸ってあれアル。小指の先っちょに結ばれてて、運命の人と繋がってるネ。お前、見えるのかッ!?」
「・・・まぁ、」
じゃあこれは。“運命の赤い糸が見える眼鏡”なのか。
なんつーファンシーなものを土方さんは持ってるんだ。あの顔でテクマクマヤコンとかエクスペクトパトローナムとか杖だかコンパクトだか持ってやるのか。
・・・似合いそうだし笑えるけど。

たぐりよせていた糸がぴんと張った。どうやら、俺の運命の相手とやらの糸が分かるらしい。どんな奴かと期待を込めてその糸に視線を這わす。
「チャイナ・・・」
御約束というかなんというか。予想通りで期待外れな事実に落胆する。
どうせなら、姉上みたいな。綺麗で物静かで落ち着いた、品のある人が良かった。というか姉上が良かった。理想が高い、というのは分かっているけど理想と正反対なこんな餓鬼が、と思わずにはいられない。
「どうした?まさか、私に繋がってたりするアル?」
「そのまさかでさァ。どうしてくれんでィ。俺の細やかな夢と希望を・・・」
「いいことだろ~。私お前と繋がってるって思ってたし」
「え、」
冗談を、と顔を引きつらせる俺に、にへっと神楽は馬鹿にするように笑いかけた。
・・・さらに追い打ち、って感じだ。
「お前も感謝するヨロシ。あたくしみたいな気高い女が運命の相手なんだからなっ!!」
「・・・はぁ。すんげぇテンション下がる」
楽しそうに笑う女王もどきに俺の呟きは届かなかったらしい。
こんな眼鏡拾わなければよかった、と後悔しても後の祭りだ。屯所に戻ったら一番に仕事の邪魔してやろうと心に誓い、眼鏡を外す。
先程まで街を橙に染めていた夕陽は雲に隠れ、雨が降りそうだ。
天気と同じような気分だな、と眼鏡をかけ楽しそうにはしゃぐ馬鹿神楽を見て思った。





#70
バイバイさよなら。

涙の変わりに笑顔を浮かべ

見送るわ 遠く旅立つ貴方を

心配しないで 大丈夫

私は独りやってゆけるわ

寂しい夜がくるかもしれない それでも

心はそばにあるから






テスト散々でした。平気が五点近く下がった。これはもう、開き直るしかないと開き直ってみました。文面的には分からないだろーけど(笑)

昨日箱根の関所に行って参りました★
凄かった。江戸時代だね。新撰組だね。徳川家だね。大奥だね。家族の中で一人だけ興奮しておりました。
資料館の方には、手形とか小判とか当時使われたものだとかこんもりあって、その中でも火縄銃と刀に興味津々でした。銃の太さが大根二つ分ぐらいあるやつとか、すごかったです。
あとお土産コーナーに様々な家紋のキーホルダーがうっていて、その中の蝶の家紋が可愛かったです。
お母さんが「うちの家紋変えらんないかなァ」といった程に。


それじゃ微妙なとこできれてる野球小説。銀魂ですよ。おおぶり興味あるけど見たことないし。










来いよ、と不敵に挑発する、細められた目だけは好きだった。
あの人はもう俺の世界から消えたけど。





SIGNAL





キーン、と耳鳴りのような、それでいて小気味のいい音は周りのコンクリートやら何やらに反響し、鼓膜に響きわたる。
打球は少しも減速することなく、重力というものを知らないかのように青く晴れわたった空に飛んでいく。
軽やかに、力強く。

五月晴れの空を。

「・・・流石だなァ、総悟」
空を見上げ、近藤はぼんやりと呟いた。
二割の確率で、沖田はホームランを放つ。打率も四割だしそれはもう、野球の神に愛されているとしか思えない程みごとな腕だ。その上、名ピッチャーでもある。上下左右、自由自在に投げ、スピードもそこそこ速い。これはもう、野球をやる運命だったのだと思わずにはいられない。

細くしなやかな白い腕に目一杯力を込め、陽に輝く黄金の髪をなびかせバットを振る姿に男女問わず見惚れてしまう。
確かに、遠目で見たら女に見えないことは無い。それを言うと怒るから、彼には言わないが。

とにかく、才能はあるし、努力をしていたのだが、高校生になってから急に、あまり熱心に練習に参加しなくなった。それでも、自主練を部の誰よりも行っていることを、近藤は知っているけれど。


ふぅ、と一息つき、沖田は手に持っていたバットを無造作に放った。
ベンチの背もたれに掛けておいた上着をはおり、ぺちゃんこな鞄を肩に掛ける。そのまま歩き出そうとする沖田に、キャッチャーマスクを外し、銀時がふてくされた顔を向ける。
「・・・沖田君、俺に練習させる気ある?」
「ありまさァ。でも此方も練習しなきゃなんねぇんで」
「練習、ってよォ帰る気マンマンじゃねぇか。どこが練習する態度だコノヤロー」
珍しく正論を述べる銀時に、肩をすくめ沖田は鞄を置いた。

自分だって真面目に野球やってないくせに、と言いそうになるのを堪える。
ピッチャーとキャッチャーがサボり癖を持っていて週に二、三回しか来ない、この部はこれで平気なのだろうかと沖田は思う。
「・・・分かりやした。ユニフォーム取って来るんで待っててくだせぇ」
少しぬかるんだグラウンドを足早に横切り、沖田は校舎の方へと歩いていく。その後ろ姿を眺め、近藤は銀時に話しかけた。
「・・・総悟もなァ、野球好きなんだけどな」
「全然そう見えねーんだけど」
やる気の欠片も見ることができない目をして、ぽりぽりと銀時は頭を掻いた。
「そういうお前だって、真面目にやってねぇだろ?」
「俺のはアレだよ、アレ。ただ単に興味があるだけだから」
その“興味”とやらが野球に対してあるのではないと聞こえ、何に、とそう尋ねるようと口を開くと、背後が急に騒々しくなった。
何事だ、と振り返れば、野球部員、先輩も監督も皆がグラウンドの端に固まっていた。人垣の間、その人の群れの中心に、沖田の姿があった。
そういや、ここ一週間ぐらい沖田は部活を休んでいた、だからかと思い至る。
部活に不真面目でも腕は確かで、驕るようなことをしないさっぱりとした性格だから部員にいじめられるような事もない。
まぁ、いじめられるような性格ではないのだが。
「旦那、やりやすよ」
「・・・はいよ。ってか着替えんの早くないか?」
そう?と首を傾げ、グローブを手にはめ、沖田はマウンドに立った。
ランニングをしていた柔道部、サッカー部までもが立ち止まりフェンスの外側から黙ってグラウンドを見つめる。云わば沖田は“期待の星”なのだ、この学校の。
中学の時から才能がずば抜けていたものは有名な私立に引き抜かれ、地元の学校に来るものは少ない、というかいない。そんな中、沖田は全国の何校もの学校からスカウトされたにも関わらず、地元の平凡なこの学校に入学した。いかなる事情があったにしてもその事実が学校側にとって嬉しいのだ。来年度の入学希望者が増える云々。

そんな経営者の腹の内など、関係無いのだけど。

マウンドに立った沖田の目には、いつも幻覚が見える。

(─────土方さん、)

目の前のホームベース、キャッチャーマスク、ミットをしてしゃがんでいるのは旦那なのに。

被る。

黒髪と。

だから、此処に立つのは好きじゃない。あいつはあの人を裏切ったから。それなのに重なるのは、土方を認めてしまっているからか。

─────気にくわない。存在自体が。

脳裏に浮かぶ、憎い面目がけ思いきりボールを投げつける。

ボスッ、とボールがミットに食い込んだ。想像の土方の顔面に当たり、胸がすうっとする。野球するたび土方さんのこと思い出すけど、ボールを投げるたびストレス発散出来るのだしそう悪くはない。
本当は思い出したくないのだがそれは置いといて。
「・・・にしても凄い歓声だな」
「えっ?」
投げ返されたボールを受け取るとおぉ!!とかそういった感じの声が耳に届いた。気付けば金網の向こうに人盛りが出来ていて、その全てが此方を見ていて驚いた。
「気付かなかったとか言っちゃう?」
「ええ・・・。ちゃんと練習しねぇで何やってんでしょうね、あの人達」
「俺らに人の事言えっか?」
苦笑交じりに言われ、確かにその通りだと沖田は頷いた。


高校に入ってから、練習に参加しなくなったのは意義が無くなったからだ。元々野球なんてやる気、無かったのだが、中学のとき気まぐれで壁当てしていたら監督に無理矢理野球部に入らされ、そのまま何となくやっていただけだ。

楽しかったけれど、今は。

「・・・一つ聞いていいか?」
「へい・・・?」
見物人が減るまで待っていようと、チームメイトが練習しているのをぼーっとグラウンドの隅の木陰に備え付けられたベンチから眺めていると、それまで目を瞑っていた銀時が口を開いた。
改まった口調に沖田は振り返る。
「・・・何で、そんな必死に投げてんだ?」
「・・・?」

言葉の意味が分からない。
必死、って、俺はそんな風に投げているのか?
普通に投げているつもりなのに、些細な事に動じない、旦那が気にする程に?
「いつも、悲しそうな顔して投げてんだよ、気付いてないだろうけど。・・・何かに囚われるのを避けるように」
そんなことない。
それなのに、否定の言葉を言えない。俺が一つの物事に囚われるはずが無い、それを自分自身が誰よりも知ってるのに。
「純粋に、野球を楽しんでないだろ?」
真っ直ぐに、自分を見つめる双眼から沖田は顔をそらした。キャッチャーはピッチャーの事をよく理解するだとか、異変に気付くだとか言うけれど、ここまではっきりと分かるなんて珍しいのだろう。
─────そんなとこまで似ているなんて、どこまで皮肉な運命なのだろう。


ねぇ、土方さん?










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プレイボール。
↑曲のイメージ。
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