「綺麗」
「・・・ん?」
その言葉に花明は振り向き、斜め後ろを歩む睦流を見た。睦流は自分の足元をじっ見つめていた。その視線を辿り、見てみるが、綺麗なモンは何もない。
「何があったんだよ?」
睦流は少し思案した後、人差し指をたてた。
「もう一度煙草吸えばわかる。不良さん」
煙草を吸えばわかる?余計何かわからない。
「口で言ってくれよ」
「仕方ないなぁ。いま、煙草をポイ捨てして、火を消す為に踏んだでしょ?それで火花が踵についてたみたいで、歩く度火花が舞ってたんだ。」
「そんなんが綺麗なのか?」
「だって周りに煙草吸う人いないし」
「・・・・そうかよ」
遠回しに吸うな、って言ってるみたいだが、本人は気付いていない。
「今度、彼女に見せてあげたら?」
「彼女が出来たらな」
そんなに綺麗だったのか。今度誰かに見てもらおう、と考えつつ、夜道を急いだ。
結構綺麗じゃないですか?夜道に落ちた火花。