沖田は逃げも隠れもしなかった。しようがなかったからだ。それに、本気でお怒り気味の土方からは逃げないほうがいい。といままでの経験が告げていた。
「なんで言わなかった?」
「旦那が言ってた通りでさぁ。」
きっと銀時は恥ずかしいから言わなかったんだろう。ぐらいにしか思っていないはずだ。だが、それだけではない。この姿に、どこか姉の姿が被ったのだ。初めて鏡を見た時、呆然とした。すましていれば、見た目はほぼそのままだったのだ。自分がもっと美しかったら見分けもつかなかっただろう。
それ程、似ていたのだ。
だから、特に土方には見せたくなかった。
この人の泣き顔も、悲しそうな顔も見たくなかった。土方はいつものように、ムスッとした顔だけをしていればいい。
「・・・二度と、こんな真似すんなよ?」
そんな考えが表情にでていたのか、土方は先程の冷たくはき捨てるような言い方とはうってかわり、宥めるように言った。
「えぇ」
「単独捜査も、一人で背負い込むのも、だぞ?」
・・・やはり、表情にでていたのか。他の人なら気付かないのに。本当に都合が悪い。
「わかったな?」
念を押すように強く言われたが、沖田は頷く事をしなかった。
単独捜査はもうしない。だけど、少しくらい何かを背負わせてくれてもいいだろ。守られるだけなんざごめんだ。みんな、何かを背負って生きているのに、自分だけないなんて俺は受け入れたくない。もう子供じゃないんだから。
「総悟」
「わかりやした。単独捜査はもうしやせん」
“は”に力を込め、俺はその場を逃げるようにして去った。
う~ん。なんかどんどんシリアス路線に。